【ヘルスケア情報】男性ホルモンについて男性ホルモンとは?

男性ホルモンとは?
男性ホルモンの種類

男性ホルモンは、アンドロゲン(androgen)とも呼ばれるステロイド・ホルモンで、その中にはテストステロンのほか、ジヒドロテストステロン(DHT)、デヒドロエピアンドロストロン(DHEA)、アンドロステロン、アンドロステンジオン(androstenedione)、エピアンドロステロンなどがあります。

DHTやDHEAの作用や役割など、必ずしも十分に解明されていない事はありますが、男性ホルモンの主な作用についてはテストステロンをお考えいただければ、と思います。

男性ホルモンの正常値は?
男性 女性
総テストステロン
(血清テストステロン)
1.92~8.84 ng/mL 閉経前 0.15~0.44 ng/mL
閉経後 0.12~0.31 ng/mL
フリー・テストステロン
(遊離型テストステロン)
(20~29歳)
7.6~23.8 pg/mL
(20~29歳)
0.4~2.3 pg/mL
DHT
(ジヒドロテストステロン)
0.20~1.00 ng/mL 0.05~0.30 ng/mL
アンドロステンジオン (20~29歳)
1.2~2.5 ng/mL
(20~29歳)
1.1~3.9 ng/mL
アンドロステロン 0.18~0.91 ng/mL 0.14~1.03 ng/mL
1. 単位にご注意

検査値や文献の単位にご注意ください。「dL(デシリットル)」と「mL(ミリ・リットル)」や、「ng(ナノグラム)」「pg(ピコグラム)」「㎍(マイクログラム)」「mol(モル)」など単位が異なる場合は、換算して比較する必要があります。

2. 多すぎても、少な過ぎても問題

男性ホルモンは、男女にかかわらず、多すぎても、少な過ぎても問題があり、あくまで生理的な範囲内(正常値の範囲内)を維持することが重要と思われます。

3. 一時的な逸脱に過剰な心配は不要

例えば数時間程度、一時的に正常値を逸脱しても、直ちに問題が生じる懸念は少ないと思われます。

4. 男性の場合、測定(採血)は午前中に

男性の場合、男性ホルモンの分泌レベルには日内変動があると言われており、通常は比較的高いレベルにある午前中に採血して測定した結果で判断されます。

5. 女性の場合、測定(採血)はいつでも可

閉経前の成人女性の場合、男性ホルモンの分泌は月経周期の影響が考えられますが、その変動は少ないため採血・測定するタイミングはいずれの日でも良いと言われています。

6. 総テストステロンよりも、フリー・テストステロンで判断

血中のテストステロンの多くはSHBGと呼ばれる物質と結合して活性がなく、体内で実際に作用するのはフリー・テストステロン(遊離型テストステロン)です。また、症状との相関も総テストステロン値よりフリー・テストステロン値の方が明らかなので、フリー・テストステロンの測定値が重要です。

7. 日本人男性におけるフリー・テストステロン値のボーダーライン

日本人男性の遊離型テストステロン(フリー・テストステロン)値は、8.5pg/mLが正常値の下限とされており、11.8pg/mL未満までは、ボーダーライン(男性ホルモン低下傾向群)とされています(加齢男性性腺機能低下症候群 - LOH症候群 - 診療の手引き)。
遊離型テストステロン値が8.5pg/mLよりも低い日本人男性は「男性ホルモンが低すぎる人」で、8.5~11.8pg/mLの日本人男性は「男性 ホルモンが低めの人」と言えましょう。

8. 男性ホルモンが低すぎるか、簡易的に把握する方法は?
(AMS問診票のスコアが高い人は、男性ホルモンが低い?)

男性更年期障害の精査・加療を主訴とした受診者193例のAMSスコアと遊離テストステロンの関係を調査した結果、AMSスコアが27点以上で、遊離テストステロン値が11.8pg/mL以下だった人は、85%(164例)だった、という報告があります
すなわち、AMSスコアが27点以上の人は、男性ホルモンが85%の可能性で低いかも知れません。泌尿器科や内科を受診し、午前中に採血して、遊離テストステロン値を検査することをお勧めいたします。

男性ホルモンを増やす方法は?

男性ホルモンを増やす背景と目的により、方法や対応が異なります。

生理的範囲(基準値の正常範囲)よりも低い場合

不足分の男性ホルモンを補充する前に、原疾患を踏まえた治療を要する場合がありますので、主治医の診断と処置を理解することが必要です。

男性ホルモンを補充する場合、注射剤による補充が一般的です。高用量ですから大変よく効くと言われています。通常は3週間毎に通院して注射し、補充を続けます。人により多血症になることがあり、また、注射後3週目頃になると残存する男性ホルモンが少なくなり、効果とリバウンドのギャップが辛い場合があるようです。
近年は、例えば3週目頃からリバウンドが生じる場合に、低用量のグローミンで補完的にテストステロンを補充し、リバウンドを抑えて快適に男性ホルモンを補充する、といった補充方法が試されています。また、たとえ治療効果が穏やかでも、リスク回避の観点から注射を希望しない場合に、グローミンによるテストステロンの補充を選択肢とする施設もございます。

生理的範囲(基準値の正常範囲)内で増やしたい場合

「バランスの取れた食事」「適度な運動」「規則正しい生活リズムと十分な睡眠」「ストレスの発散」という、健康的な生活習慣が基本となります。

【男性ホルモンと食事】
男性ホルモンと食事

コレステロールは体内で男性ホルモンを産生するための出発物質ですから、極端な節食や偏食でコレステロールの摂取不足に陥ると、原料不足から男性ホルモンの分泌も不足する恐れがあります。
しかしながら、コレステロールの過剰摂取は動脈硬化の原因となり、心筋梗塞や脳出血、高脂血症につながると言われていますし、コレステロールを摂取するだけで男性ホルモンが増えるものではないと考えられます。
また、近年の研究ではビタミンDと男性ホルモンの関係が報告されており、少なくともビタミンDの不足分を補うことで、男性ホルモンの不足もリカバリーされるようです。ただし、過度にビタミンDを補給しても、男性ホルモンは増えないようです。
あくまで、コレステロールやビタミンDが不足しない程度に偏食せずバランス良く食事を摂ることが最善と考えております。

【男性ホルモンと運動】
男性ホルモンと運動

運動やトレーニングが男性ホルモンの分泌に関係し、筋肉の発達につながる好循環になることは言うまでもありません。
身体を痛めたり精神的なストレスにならない程度の適度な運動は、むしろストレスの発散になることが期待されますし、そのような運動が習慣化されて筋肉の発達の好循環になれば、何か目標を作り(例えば、市民スポーツ大会の出場など)徐々にトレーニングの負荷を増やして行くことで、自ずと男性ホルモンも正常範囲内で高いレベルを維持するようになることが期待されます。

【低用量テストステロン・クリームによる男性ホルモンの補充】
低用量テストステロン・クリームによる男性ホルモンの補充

男性ホルモンの分泌レベルが正常範囲にあってもAMSスコアが高くなる場合があり、消極的な気持ちから運動やトレーニングをする気分になれず、生活リズムや食事も乱れて、かえって男性ホルモンの分泌を衰えさせてしまう悪循環が生じることも考えられます。
朝だちの頻度減少や消失、勃起の硬さが弱くなって来た頃を初期症状と考え、低用量(テストステロン1%配合)のテストステロン・クリームを短期間(数日から1ヶ月)ずつ、間欠的に塗ることで男性ホルモンを少しずつ補充し、テストステロンの血中濃度を増やすことが、好循環の良いきっかけになるものと期待されます。

グローミン

なお、テストステロン・クリームのグローミンは、テストステロン1%配合の低用量な製剤で、少量ずつ(チューブから2cm以内)塗れば、正常範囲にある人が塗布しても生理的な上限レベルを超える可能性は少なく、仮に超えても短時間(塗布後、4~6時間で元のレベルに戻る)ですから、リスクは極めて低いと考えております。 また、グローミンは男性ホルモンの分泌自体を増やすものではありませんが、一時的に男性ホルモンの分泌が低下して、低下にともなう悪循環に陥っている人の場合、本剤がきっかけとなり、運動や食事、生活リズムの改善の好循環から自律回復することが期待されます。

生理的範囲(基準値の正常範囲)を超えて増やしたい場合

アスリートやボディビルダーのドーピング目的をはじめ、性機能や性器形態上のマニアックな願望から、生理的範囲を大幅に超える男性ホルモンの投与を希望する人がいますが、倫理的・法的に私どもは相容れない立場であり、ご期待にそえません。

薬物を使わずに、極限まで男性ホルモンの自律分泌を促進させる方法があるとすれば、自ずとトップ・アスリートと同様のトレーニングや生活習慣を目指すことになると考えています。言うまでもなく、一般の人が急にトップ・アスリートと同様のトレーニングや食事をすれば、身体を壊すリスクがありますので、段階的なトレーニングや、ステージに応じた食事のメニューが必要と考えております。

【性同一性障害(FTM)の男性ホルモン療法】

性同一性障害(FTM)の男性ホルモン療法につきましては、ガイドラインにそった専門医の管理と処置が必要と考えております。何卒ご了承のうえ、自己判断をなさらず主治医にご相談くださいませ。

男性ホルモンの分泌を抑える/減らすには?

男性ホルモンの分泌が減る原因を敢えて実行すれば、自ずと男性ホルモンの分泌は抑えられると思いますが、男性ホルモンのレベルが低いと心血管疾患をはじめ様々な疾患を引き起こし、死亡率が高くなることが知られています。そもそも下記の各項を実行するのは危険ですから、決してお勧めいたしません。

● コレステロールの摂取を抑える。摂取したコレステロールが体内で男性ホルモンになるため。
ビタミンDを不足させる。ビタミンDに関連する食物の摂取を避けて、さらに日光を浴びないように屋内へ引きこもる。
● 運動を控え、メタボリック・シンドロームになる。
● 肥満や糖尿病になる。
● 不健康な生活習慣を行い、トラウマや大きなストレスを抱えて、大いに落ち込む。
● 睾丸を全て(2個とも)摘出する。
● 抗アンドロゲン剤(前立腺癌のホルモン療法に使う薬剤)の投与。
男性ホルモンと、薬指に対する人差し指の比(2D:4D比)の関係

近年、男性ホルモンと「人差し指:薬指」の関係が話題になっています。胎児の間に男性ホルモンの影響を強く受けて育った男性は、薬指が長く発達するようです。男性ホルモンがもたらすアグレッシブな精神作用から、意思決定や遂行力が求められる仕事に適性があるのかも知れません。関連する論文を弊社ブログで逐次、掲載して参ります。

DHT(ジヒドロテストステロン)について DHTは、体内のテストステロンが5α還元酵素の作用で転換することにより出来るものと言われ、男性胎児にとって外性器を形づくられる役割を果たすと言われていますが、成人男性(思春期以降)に、 「痤瘡(ざそう)=ニキビのこと」 をはじめ、「はげ」、あるいは前立腺肥大といった「男の悩み」につながるという指摘があり、成人男性にとってDHTは「悪玉」男性ホルモンと言えそうです。 ちなみに、5α還元酵素の阻害作用でDHTの産生を抑える薬が、近年登場したフィナステリドという成分のAGA(男性型脱毛症)治療薬です。今後の研究により、フィナステリドを併用すれば、テストステロンを補充してもDHTの弊害(頭髪の脱毛や前立腺肥大)を避けることが期待されると思われます。
DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)について DHEAは、テストステロンに比べて生理活性の小さい男性ホルモンと言われています(約1/5、約5%という指摘など)。米国ではサプリメントとして出回っており、個人輸入で入手する人がいますが、これは脱法行為であり、リスクやコンプライアンスの観点から弊社はお勧め出来ません。 DHEAについて過去に国内で有用性を研究した経緯はあるようですが、弊社の知る限り学術的に広く公認された情報は乏しいようです。