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Category:男性ホルモン(アンドロゲン・ テストステロン)

  • 魅力的な男性は女性のテストステロンとコルチゾールの遊離を起こす

    2009年03月29日


    【目的】
    最近、Roney et al. (2007;
    2003)は、男性が若い女性との短い社会的相互作用に反応してテストステロンとコルチゾールが遊離することを示した。
    今回、女性が身体的および行動的に魅力的な男性に反応して同様の内分泌反応を示すかを調査した。

    【方法】
    対象は自然月経サイクルの女性70例および経口避妊薬使用女性50例の計120例。一般的なフィルムから抽出合成した20分間のビデオ4本を視聴させた。4本のビデオのシナリオは次の通りである。

    1. 魅力的な男性が若い女性を誘惑している(実験的刺激)。
    2. 自然のドキュメント(コントロール)。
    3. 魅力的ではない高齢の男性が女性を誘惑している(男性コントロール)。
    4. 魅力的な女性、男性はいない(女性コントロール)。

    ビデオの視聴前後に唾液を採取し、テストステロンとコルチゾールを測定した。

    【結果】

    • 自然月経サイクルの女性において、実験的刺激に反応して、テストステロンおよびコルチゾールが有意に上昇したが、コントロール刺激では上昇がみられなかった。
    • 経口避妊薬使用女性もまた、魅力的な男性に反応して有意なコルチゾールの上昇を示した。

    【結論】
    女性は、高い異性価値のある男性との誘惑的相互作用により、副腎ステロイドホルモンを遊離するであろう。

    【原著】
    Attractive men induce testosterone and cortisol release in women.
    Lopez HH,
    Hay AC, Conklin PH.
    Department of Psychology, Neuroscience Program, Skidmore
    College, 815 N.
    Broadway, Saratoga Springs, NY 12866.

    【弊社コメント】
    テストステロンは、その多くが血中でSHBGと呼ばれる物質と結合していますが、テストステロンはSHBGと結合すると体内で作用しません。一方、SHBGから遊離していて、SHBGに結合していない状態のテストステロンは、フリーテストステロン(遊離テストステロン)と呼ばれています。体内で活性をもって作用している男性ホルモンは、フリーテストステロンなのです。

    この論文によると、男女のいずれも魅力的な異性を意識することで、テストステロンの遊離を起こすということですから、すなわち生理活性のあるフリーテストステロンが増えるわけです。すなわち、快活で積極的、アグレッシブで昂ぶった気持ちになり、性欲が高まる・・・といった、異性を意識した時のワクワク感を思い出すことになり、日々このような状態を続けることで、アンチエイジングや若返りが期待できると思います。

    恋愛小説を読んだり、ラブシーンのあるドラマや映画を観たり、あるいは好きな異性の芸能人のファンになって心をときめかすことで異性を意識することも、体内のテストステロンを遊離させて生理活性のある状態にするという意味では、アンチエイジングや更年期障害の緩和、性機能の維持回復・・・、といった観点から意義のある生活習慣なのかも知れません。

    例えば作家の渡辺淳一氏は、著作やコメントを通じて中高年の恋愛を勧めていますが、異性を意識する行動が男性ホルモンを遊離させることで、中高年層のアンチエイジングや回春につながる、というメカニズムが示唆されると思いました。(福)

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  • 早漏に対するSSRI使用への警鐘

    2009年03月10日


    2009年2月21日に第19回・日本性機能学会東部総会が長野市で開催され、総合せき損センター・泌尿器科の木元康介先生から表題の発表がありました。
    近年のSSRI服用にともなう様々な有害事象(重大事件に至るほどの攻撃性・自殺念慮・精子に与える影響)の指摘をはじめ、早漏の治療に対するSSRI(選択的セロトニン再吸収阻害剤)の使用が適応外であることも踏まえると、これらのリスクに対応するためには、処方に至るプロセス(患者とパートナーに対する説明と了解)や、処方後の注意深い問診など、極めて慎重な対応が必要である、という趣旨でした。

    Antidepressant-associated changes in semen parameters.
    Tanrikut C, Schlegel PN.

    James Buchanan Brady Foundation, Department of Urology, New York-Presbyterian Hospital/Weill Medical College of Cornell University, New York, New York 10021, USA.

    We describe 2 cases of patients referred for evaluation of male infertility who had antidepressant medication-associated changes in sperm motility and/or concentration. The physical examination and endocrinologic study findings were unremarkable in each case. Analysis of the initial semen specimens revealed oligospermia, impaired motility, and abnormal morphology in each patient while they were taking serotonin reuptake inhibitors. Repeat semen analyses performed 1 to 2 months after discontinuation of the antidepressants demonstrated marked improvements in sperm concentration and motility. Additional assessment of the potential impact of antidepressant medications on male fertility is warranted.
    PMID: 17270655 [PubMed – indexed for MEDLINE]


    Antidepressants and Violence: Problems at the Interface of Medicine and Law

    David Healy, Andrew Herxheimer, and David B Menkes
    PLoS Med. 2006 September; 3(9): e372. Published online 2006 September 12. doi: 10.1371/journal.pmed.0030372.
    PMCID: PMC1564177
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    「うつ病」内科で薬処方 使い方誤り攻撃性増す?
    2009年3月14日 20時51分   ( 2009年3月14日 20時51分更新 )

    副作用が少ないと人気の抗うつ薬SSRIを服用し、暴力などの攻撃性が高まった疑いもある症例が4年半で42件報告されていたことが分かった。厚労省では、初期症状の患者らが精神科を敬遠して内科にかかり、使い方を誤って逆に副作用が強く出た可能性もあるとみている。うつ病患者が社会から誤解を持たれないためにも、抜本的な対策が求められそうだ。

    副作用少ないSSRI、「攻撃性」疑い42件も
       うつ病の初期のころは、精神科へ行くのに抵抗がある人は多い。自覚症状がなく、動悸がするなどの体の異常を訴える場合もある。そして、まず内科にかかることになる。
    そこでは、パキシルなどの「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」が使われることが多い。効果的な抗うつ薬として一般的な「三環系」と違って副作用がきつくなく、仕事や家事をしてもらいながら治療できるため、使いやすいからだ。
    ところが、そのSSRIにも、攻撃性を増したりするような副作用が出る可能性があることが分かった。SSRIは、日本では、シェア5割のパキシルのほか、ルボックス、デプロメール、ジェイゾロフトの計4製品がある。それらの製造販売元の各製薬会社は、医師からの副作用報告を医薬品医療機器総合機構に上げており、それが2008年秋までの4年半に、前述のような副作用も疑われる症例が42件もあったというのだ。
    これは、業界紙の医薬経済社が08年9月に同機構に情報公開請求した結果、同12月に公開され、09年3月に入って同紙がその内容を報じたものだ。
    それによると、人を実際に傷つけ刑事事件にもなったケースが6件あり、うち1件は妻を殺害したものだった。殺害したのは、認知症にもかかっていた70歳代の男性で、パキシル服用後のことだった。ほかに、妻の頭を金属類で殴って重傷を負わせた45歳の男性もいた。
    傷つけるまではいかなくても、その恐れがあったのが13件。「このままでは人を殺してしまう。刑務所に入れてくれ」と望んだ男子高校生やバイクを蹴ったりする人もいた。残る23件は、興奮してイライラするなどしたケースだった。

    気分が上がってくるときの服用は危険
       SSRIは、1999年に日本で承認され、パキシルは2000年から発売された。今では、100万人以上が使うほどSSRIがポピュラーになったが、副作用が少ないというのは間違っていたのか。
    この疑問に対し、厚労省医薬食品局の安全対策課長は、こう説明する。
    「うつ病の方は、いつも沈んでいるわけではなく、波があって、気分が上がってくるときがあります。そのような状態でSSRIを服用すると、気分を増幅させる危険があるのです。そして、半端ではない興奮状態になったり、怒りっぽくなったり、ときには人を傷つけたりするかもしれません。また、自殺リスクが上がることもありえます」
    つまり、精神状態を見て使わないと、意外な副作用が出てくるということだ。
    古典的な三環系は、使い方が難しいので、扱いに慣れている精神科の専門医が処方する場合がほとんど。ところが、SSRIは、副作用がきつくないので、内科医でも処方され、十分な注意喚起がないまま、気分が上がってくるときに使われている恐れがあるというのだ。
    ただ、うつ病患者は、薬を服用しなくても、気分が上向いているときなどに攻撃的になることがあるとされる。服用しなければ、自殺の危険も強い。従って、他害行為や自殺を防ぐためにも、投薬治療は必要だ。大切なのは、SSRIは、前述のように使い方を誤ると、副作用として「攻撃的反応」を増幅させると注意喚起することのようだ。

    厚労省は、どのように対応するのか。

    これに対し、前出の安全対策課長は、こう説明する。
    「確かに、怖くなって薬を飲むのを止めたり、うつ病患者は危ないと思う人が出たりすると、害が大きいと思います。本来なら、精神科の専門医によく聞くのが大切でしょう。しかし、抵抗がある人もいて、呼びかけだけでは難しいと思っています。そこで、内科医などにも人を傷つけるような副作用の可能性があることを注意喚起してもらうよう、何らかの対策を検討しています」

    抗うつ薬で暴力など42件  厚労省が因果関係調査
    2009/03/07 12:31   【共同通信】

    抗うつ薬の「パキシル」など4種類のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を服用した患者に、他人に暴力をふるうなど攻撃性が高まる症状が表れたとの報告が2004年から昨年秋までに計42件、医薬品医療機器総合機構に寄せられ、厚生労働省は7日までに、因果関係の調査を始めた。
    メーカー側に見解を求めるとともに近く専門家の意見も聞き、攻撃性についての注意書きを盛り込む方向で、添付文書の改訂を指示することを検討する。
    厚労省によると、報告があったのはパキシル、ルボックス、デプロメール、ジェイゾロフトの4社4製品。42件のうち「人を殺したくなった」など他人を傷つける恐れのある言動をしたり、実際に暴力をふるったりした症例が19件。残る23件も、興奮して落ち着きがなくなるなどの症状が表れたという。
    因果関係は不明だが、うつ病を併発した認知症の70代の男性がパキシル服用後に妻を殺害するなど、刑事事件に発展したケースもあった。
    SSRIは、脳内の神経伝達物質セロトニンの濃度を調節して神経の活動を高める薬。三環系と呼ばれる従来の抗うつ薬よりも副作用が少なく、うつ病治療に広く使われており、国内でも推定で100万人以上が使用しているとみられる。
    厚労省は「うつ病以外の患者にも使われていなかったかなど慎重に調べたい」としている。

    「抗うつ薬で攻撃性」副作用の疑い42件 厚労省調査
    2009年3月7日6時16分 【asahi.com】

    銃乱射で客ら8人死亡  米中西部の商業モール
    2007/12/06 01:45   【共同通信】

    【ロサンゼルス5日共同】米中西部ネブラスカ州オマハのショッピングモールで5日午後2時(日本時間6日午前5時)ごろ、若い男がライフル銃を乱射した。地元警察当局によると、クリスマスの買い物などに来ていた客ら8人が死亡、重体2人を含む計5人が負傷した。犯人の男は自殺した。 米国では4月のバージニア工科大事件をはじめ銃乱射事件が続発、一般市民が犠牲になる惨事が繰り返されている。 地元テレビによると、犯人は近くに住む20歳で、自宅に今回の犯行をほのめかすメモが残っていた。11月にアルコール所持容疑などで逮捕され、今月19日に裁判所に出廷する予定だったという。 知人とみられる地元女性は地元テレビに、男が最近職場を解雇され、銃を持っているのも見たと語った。別の友人男性は男が抗うつ剤を服用していたと話した。警察当局は詳しい動機を調べている。

    全抗うつ剤にリスク記載へ  若者の自殺企図で厚労省
    2007/11/06 21:11   【共同通信】

    厚生労働省は7日までに、国内で販売されているすべての抗うつ剤に、「24歳以下の患者で自殺を企てるなどのリスクが増加するとの報告がある」との内容を使用上の注意として記載するよう、製薬会社に添付文書の改訂を指示した。 米食品医薬品局(FDA)が今年5月、米国内で同様の改訂を指示したのを受けた措置。 ただ抗うつ薬によるメリットも大きく、今回の改訂では、プラス面とマイナス面を考慮した上で投与するよう記載する。 対象となるのは、新しい世代の抗うつ剤であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)のほか、古くから使用されている「三環系」「四環系」と呼ばれる種類も含むすべての抗うつ剤。

    大人でも自殺衝動を増加か  抗うつ剤、米当局が警告
    2005/07/02 01:36   【共同通信】

    【ワシントン1日共同】米食品医薬品局(FDA)は1日、抗うつ剤が大人の自殺衝動を強める可能性が最近の複数の研究で指摘されたとして、服用する際は症状の悪化や自殺傾向などを慎重に監視するよう求める警告を発表した。  一部の抗うつ剤が子供の自殺傾向を強める恐れは既に明らかになっており、FDAは昨年、薬の添付文書に強い警告を表示するよう指示した。  FDAは今後約1年かけ、米国で広く処方されている抗うつ剤について大人の患者に自殺を誘発する恐れの有無を評価し、製品への警告表示などを検討する。  今回の警告は、その結論が出るまでの当面の措置。特に抗うつ剤を初めて服用する際や、有効成分の量が変わった時の体調、精神状態の変化に注意し、自殺を考える回数が増えたなどの変化があれば医師の診察を受けるよう求めた。

    機長刺殺の男に無期懲役  全日空機ハイジャック事件
    2005/03/23 03:11   【共同通信】

    1999年、全日空機を乗っ取り機長を刺殺したとして、殺人とハイジャック防止法違反(ハイジャック致死)などの罪に問われた無職西沢裕司被告(34)に、東京地裁は23日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。  判決理由で安井久治裁判長は「わが国犯罪史上類を見ない危険かつ悪質なハイジャック事案で、航空機の安全な航行に対する社会的信頼を損なった」と厳しく指摘した。  ハイジャック致死罪が初めて適用された事件。動機と責任能力が争点となったが、安井裁判長は「抗うつ剤などの影響により、犯行当時、そう状態とうつ状態の混合状態で、心神耗弱の状態にあった」と認定した。  公判中、2回行われた精神鑑定のうち1回は「心神耗弱状態だった」と結論付けていた。

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  • グローミンの臨床研究が稲田賞を受賞

    2008年07月14日


    弊社のテストステロン軟膏「グローミン」は、2003年10月から聖マリアンナ医大・泌尿器科の岩本晃明教授(当時)の研究チームで臨床研究が始められ、既にいくつかの学会で発表と論文掲載がされて来ました。

    グローミンの弊社HP

    グローミンに関する、これまでの学術発表

    このほど、泌尿器科紀要誌に投稿・掲載された、グローミンの臨床研究に関する論文に対して、代表執筆者の長野赤十字病院・第二泌尿器科部長・天野俊康先生が、泌尿器科紀要誌の稲田賞を受賞される事になりました。7月26日・17時より京都(芝蘭会館別館)で授賞式と講演会がある予定です。

    また、インパクトファクター4.7を誇る、J Sex Med. 2007 Dec 18 に掲載された論文は、Pub Medで参照できます。

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  • 高齢男性における性ホルモン濃度と健康および生活満足との関連

    2008年01月21日


    【目的】
    高齢男性において、性ホルモン濃度と自己評価健康度および生活満足度、神経精神症状あるいはうつ症状あるいは痴呆との関連を解析した。

    【方法】
    対象は地域住民調査Lieto Studyに登録している517例の男性。性ホルモン製剤の使用あるいは前立腺癌、前立腺肥大症の治療中、あるいはBMIの測定がない男性は除外した。
    その結果466例、年齢64~97歳、平均72歳、平均BMI26.9 kg/m(2)が解析対象となった。

    【結果】
    ・ 年齢調整後、高レベルのテストステロンあるいは遊離テストステロンは良好な自己評価健康度と関連していた。
    ・ 年齢およびBMIで調整後、性ホルモンレベルと自己評価健康度あるいは生活満足度あるいは、殆どの神経精神症状との間に統計学的に有意な関連は認められなかった。
    ・ 診断上のうつ症状は低テストステロンと関連していた。
    ・ 高レベルのLHおよびFSHは診断上の痴呆と関連が見られた。

    【結論】
    この地域住民調査において、低テストステロンと診断上のうつ症状に関連が見られた。無症候性の性腺機能低下症は痴呆と関連していると思われる。

    【原著】
    Associations of sex hormone concentrations with health and life satisfaction in elderly men.
    Eskelinen SI, Endocr Pract. 2007 Nov-Dec;13(7):743-9.
    Department of Family Medicine, University of Turku, Turku, Finland.

     

    【弊社コメント】
    テストステロンとうつ症状との関連は明らかなようですが、BMIを調整に加えると、一般的な健康度、生活満足度との関連に有意性がなくなります。(野)

    テストステロンは、決して高齢男性の健康の全てを司るものではありません。肥満度の要素が加わると、たとえテストステロンのレベルを若い頃のように高く維持できても、健康度や生活満足度が必ずしも高いとは限らないわけです。

    すなわち、健康的なライフスタイル(適度な運動・バランスの良い節度ある食生活・規則正しく健康的な生活リズム・ストレスの少ない健康的な生活環境・前向きで健全な精神状態、等々)を若い頃からずっと実践し、肥満もコントロール出来た人こそ、最良のホルモン補充(ホルモンレベルの維持)をしている、最高のアンチエイジング法の実践者なのでしょう。(福)

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  • 男性冠動脈疾患患者におけるテストステロンと血管内皮機能指標の関係

    2008年01月09日


    【目的】
    冠動脈疾患(CHD)を有する男性における血管内皮機能を示し、指標とアンドロゲンレベルの関係を検討した。

    【方法】
    50~70歳の男性106例について、年齢、体重、血清脂質、喫煙の有無、血糖値、血圧、血管細胞接着分子(VCAM)-1、総頸動脈の壁の厚さ(IMT)を登録した。
    106例中51例がCHDを有していた。遊離テストステロン(FT)と、VCAM-1およびIMTの関係を解析した。

    【結果】
    ・ CHDとコントロールの間に年齢、血圧、喫煙の有無、血糖、HDL-C、最少拡張速度に差異はなかった。

    ・ 体重、総コレステロール、LDL-C、中性脂肪、VCAM-1およびIMTは、CHDにおいてコントロールより高かった。

    ・ FTおよび収縮期の最大速度はCHDでより低かった。

    ・ 全体で、FTとVCAM-1およびIMTの間に逆相関が認められた。

    【結論】
    遊離テストステロンは内皮機能の指標であるVCAM-1およびIMTと逆相関した。

    【原著】
    Relationship between testosterone and indexes indicating endothelial function in male coronary heart disease patients.
    Fu L, Asian J Androl. 2007 Dec 20
    the First Affiliated Hospital of Harbin Medical University, China.

     

    【弊社コメント】

    テストステロンの低下と冠動脈疾患との関連が、内皮機能の指標であるVCAM-1およびIMTから明らかにされました。(野)

     

    【血管細胞接着分子(VCAM)-1 とは?】

    冠動脈疾患をきたした患者における予後マーカーとして、接着分子の血中濃度が有用という、Blankenbergらフランスとドイツの共同研究グループの発表。それによると、いずれも可溶性(s)の血管細胞接着分子(VCAM)-1、細胞間接着分子(ICAM)-1、およびE-セレクチンの血中濃度が高いほど、その後の心血管死のリスクが高いという相関性が認められ、特にsVCAM-1値は古典的危険因子やCRP値と併せて用いると生命予後予測に有用という。

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  • テストステロンの高値が前立腺癌の発現と関連していない

    2007年04月21日


    【目的】
    多くの研究が治療前のテストステロン・レベルと臨床病期あるいは組織学的グレードとの関連性を示しているが、治療前のテストステロン・レベルの臨床的意義については異論が多い。
    そこで、前立腺癌の臨床病期および組織学的グレードと治療前のテストステロン・レベルの関連について検討を行った。

     

    【方法】
    1982~2002年の間に治療前のテストステロン・レベルの記録がある2,914例について解析した。血清テストステロンはRIA法にて測定された。

    【結果】

    • 臨床病期の悪化に伴い、テストステロンレベルが低下する傾向が認められた。
    • また、組織学的グレードの悪化に伴っても、テストステロンレベルが低下する傾向が認められた。
    • 未分化型腺癌を有する患者は他の患者よりテストステロンレベルが有意に低かった(versus well; p<0.01, moderately; p<0.01)。

     

    【結論】
    前立腺の未分化型腺癌と新たに診断された患者のテストステロン・レベルは他の患者より低かった。

     

    【原著】
    Pretreatment total testosterone levels in patients with prostate cancer in the past two decades in Japan.
    Sekine Y, Cancer Detect Prev. 2007 Apr 5
    Department of Urology, Gunma University Graduate School of Medicine, Japan.

     

    【弊社コメント】
    2,914例という日本の研究としては多数例の解析である事が注目されます。
    海外での分析ではよく言われている事ですが、日本人においてもテストステロンの高値が前立腺癌の発現とは関連していないという結果になっています。(野)
    むしろ、テストステロンが低くならないように維持するような生活習慣(バランスの良い食生活、規則正しい生活、適度な運動の継続)を通じて、加齢に伴うテストステロンの分泌減少前立腺癌の発症を予防できるのかも知れません。(福)

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