大東製薬工業株式会社

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月別アーカイブ:2008月04月

  • テストステロンを食品から摂取することはできるの?

    2008年04月17日

    HPを拝見させていただきました。
    テストステロンを食品から摂取することはできるのでしょうか?
    コレステロールの中に含まれるそうですが、卵くらいしか思いつきません。
    やはり薬剤から摂った方が良いのでしょうか?
    (男性・35~44才)

     


     

    結論から申しますと、食品からテストステロンを摂取することは出来ません。
    根拠は次の通りです。

    1. ●テストステロンを含む一般的な天然の食品(食材)は、私どもの知る限り、ございません。 敢えて考えられるものとしては、哺乳類動物の睾丸ですが、次項の理由からテストステロンの摂取としては意義が無いと考えます。
    2. ●もし、そのような食品があったとして、テストステロンを口から摂取しても、テストステロンは消化管で吸収されてから血中濃度を上昇させる前に肝臓を経由して、全て分解されてしまいます。そのため、効果が無いばかりか、多量あるいは長期的に摂取すると肝臓に過剰な負担をかける恐れがございます。
    3. ●メチルテストステロンのように、天然の物質でなく化学的に合成された人工の男性ホルモンは、全てが肝臓で分解されないので、経口投与で男性ホルモンとしての効果が期待できます。しかしながら、肝臓毒性の問題(肝硬変などの副作用)が指摘されているので注意が必要です。
      近年は、このような問題を解決した男性ホルモンの飲み薬として、Testosterone Undecanoate という物質が開発されていますが、日本では承認されていません。また、食生活における脂質の摂取量が、服用後の男性ホルモンの血中濃度上昇に影響するようで、欧米人と比べて脂質の摂取が少ない人、例えば和食中心の食生活をしている日本人には、必ずしも効果が期待できない、という見方もあるようです。
      いずれにせよ、男性ホルモンは医薬品の成分ですから、男性ホルモンを配合した合法的な加工食品は存在し得ません。

     

    コレステロールの中に含まれるそうですが、卵くらいしか思いつきません。

     

    テストステロンは、コレステロールの中に含まれるものではありません。卵などの食品から摂取したコレステロールの一部が、体内でテストステロンに変化するのです。

    そのため、過剰なダイエットや偏食等によりコレステロールの摂取が極めて少なければ、原料が無いのと同じで、自ずと体内でテストステロンが産生できなくなってしまいます。

    かといって、コレステロールを過剰に摂取するほどテストステロンが多量に産生されるとは限りませんし、かえって様々な成人病が懸念されます。

     

    やはり薬剤から摂った方が良いのでしょうか?

     

    私どもは、「食品」「薬剤」といった切り口で良し悪しを申し上げることが出来ません。

    先ず、テストステロンに限らず、健康的なホルモンバランスは、バランスの良い適量の食事、健全で安定した生活リズム、十分な睡眠と休養、適度な運動、喫煙や有害物質の排除、ストレスを溜めない精神衛生の維持…といった、健康的な生活習慣の自己管理が全て適切である事により、維持されるものと考えます。

     

    しかしながら、多くの人にとって、これらの健康的な生活環境が十分に満足できず、結果的にホルモンをはじめ健康のバランスを崩したり、本来の健康な状態を損なう現実が多々あるかと存じます。

    このような時に、例えば偏った食事で摂取量の足りない栄養素を補助し、体内で産生する物質を間接的に補うものがサプリメント等の健康食品ですし、結果的に不足した性ホルモンそのものを直接的に補充するのが弊社製品のような医薬品の役割です。

    また、ひと口に「薬剤」と申しましても、製品ごとに様々な特徴があり、それぞれメリットとデメリットが考えられますので、「薬剤」として単純に良し悪しを申し上げる事が出来ません。

     

    一方、「食品」につきましては、誰もが漠然とした安心感を抱くものです。

    「食品ですから、安心して摂取できます。」というキャッチコピーは、健康食品の定番です。しかしながら、たとえ食品自体の品質に問題がなくても、必ずしも食品が安全とは言えない面があるかと存じます。

     

     

    例えば、塩分の摂取にともなう高血圧、糖分の摂取にともなう糖尿病、脂質の多い高カロリーな食事による高脂血症や動脈硬化、ひいては心臓病や血栓症の発症、といったリスクは既に広く知られています。
    また、多くの食材にアレルギー症状を起こす人がいることも、ご高承のことと存じます。例えば蕎麦アレルギーにともなうアナフィラキシー・ショックは、呼吸困難を招いて死に至る危険がございます。
    極端な例えを挙げれば、熱い飲み物で舌をやけどしたり、冷菓を食べて下痢や腹痛を起こす人もいらっしゃるでしょう。

    そして、これらを医薬品の副作用に置き換えれば、食品の多くは大多数の薬剤よりも、発生頻度と重篤な症状の両面からずっと危険であり、厳重に管理すべきものとなってしまいます。
    もし、非常識なほど多量の水を摂取して下痢を起こしたとしても、社会通念上、非常識な量を摂取する側の問題になるかも知れません。でも、医薬品であれば、たとえ水でも、副作用として摂取(投与)量を管理すべき問題となります。

    成人病やメタボリックシンドロームの一因が食事、すなわち食品の摂取にあることは疑う余地がなく、その結果、心筋梗塞や動脈硬化、脳血栓に至る頻度と死者数といったリスクが懸念されます。大多数の医薬品に比べて、食品におけるこれらのリスクが桁違いに高いことは言うまでもありません。

     

    それから、医薬品は製造ロット毎に有効成分が規格通りに配合されていることを必ず確認してから製造記録として残した上で出荷致しますが、食品に含まれる栄養素は、実際には個々の出来栄えによって含まれる量がばらつく事が容易に想定されるのにもかかわらず、個々の作物はもとより、加工食品につきましても、収穫や製造ロット毎に測定、分析されているとは限りません。

    すなわち、医薬品に求められるレベルで申し上げれば、食品の多くは含まれる栄養素の量に保証が無いうえ、摂取方法によっては重篤な健康被害を及ぼす危険なデメリットがあるのです。しかも、医師の処方箋や薬剤師の服薬指導も無ければ、メーカーの添付文書による適正な摂取方法の詳細説明も無く、摂取量の法的規制や行政当局の取り締まりも無いまま、消費者が資格を要さず自由に摂取できます。大多数の医薬品に比べれば、むしろ多くの食品の方が極めて危険なものと言わざるを得ません。

    以上、何卒ご理解のほどお願い申し上げます。

     

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