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更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。

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Category:加齢とQOLの低下・生活習慣病

  • 飽和モデルからみたテストステロン・フレアのリスク

    2017年08月08日


    <目的>
    性腺刺激ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストが1980年代に導入されたとき、Tフレアと言われる最初の一過性のテストステロン(以下、T)上昇が前立腺癌(PC)の成長、および疾患の進展、合併症および死亡を招くと一般的に信じられた。これらのリスクを防御するため抗アンドロゲン剤を併用する事がルーチンとなった。

    しかしながら、近10年間、アンドロゲンはPC成長の刺激に限定的に作用することが認識されるようになり、Tフレアのリスクに対して理論的検証がなされている。そこでTフレアと関連したリスクをレビューした。
    <方法>
    LHRHアゴニストに関連したTフレア、疾患フレアに関係する論文をMEDLINEにてサーチした。1980年5月1日から2016年5月1日の間、luteinizing hormone-releasing hormone, gonadotropin-releasing hormone, および antiandrogensのタームにて検索した。
    <結果>

    ・最初のLHRHアゴニストの投与は一様に2-3日間の血清Tを40~100%上昇し、その後Tレベルは7~8日目にベースラインレベルに戻り、約2~3週間去勢レベルに低下した。

    ・Tフレアの間にPSAを測定した6つのLHRHアゴニストの研究のうち5つは、ベースラインのPSAが≥500ng/ml の進行がんが存在するにも関わらずPSAに有意な上昇を認めなかった。

    ・疾患フレアのエビデンスはLHRHアゴニスト単独投与とLHRHアゴニスト+抗アンドロゲン剤併用を比較した骨疼痛に関する1報告に限られた。他の3つのRCTは疾患フレアを報告していない。

    ・脊髄圧迫の割合は去勢あるいはエストロゲン療法に比してLHRHアゴニスト単独で多くなかった。

    ・LHRHアゴニストの影響を進行性PCの自然経過と比較するためLHRHアゴニスト対プラセボ/無治療の比較試験はなかった。

    <結論>
    30年間、Tフレアはリスキーであると考えられてきたが、1980~1990年に収集したエビデンスのレビューはこの見解を支持しなかった。特に、Tフレアは広範な転移性疾患の男性においてさえ有意なPSA上昇、疾患の進展あるいは有害作用と関連しなかった。これらの結果は2006年に最初に紹介された飽和モデルと一致する。

    LHRHアゴニストに抗アンドロゲン剤を併用する価値は、広範囲な脊髄転移があり血清Tが飽和ポイント約250ng/dl以下である男性を除いて殆どない。

    【原著】
    Eur Urol Focus. 2017 Jul 1. pii: S2405-4569(17)30159-1. doi: 10.1016/j.euf.2017.06.008.
    Risk of Testosterone Flare in the Era of the Saturation Model: One More Historical Myth.
    Krakowsky Y, Morgentaler A
    Men’s Health Boston, Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical School, Chestnut Hill, MA, USA.

     

    【弊社コメント】

    飽和モデルは高いテストステロンが前立腺癌や肥大を促進しない事を理論づけたものです。今回の報告はTフレアという急激なテストステロンの上昇が有害作用を及ぼさす、飽和モデルと一致したものです。TRTが前立腺に対して危険なものではない事を示す典拠になることが期待されます。今後、関連学会において、ガイドラインや指針にこの考え方が取り入れられるか、注目しています。(野)

    高濃度のテストステロンが前立腺癌のリスクを高めるというのは、Huggins医師が前立腺癌と男性ホルモンの関連性を公表(1941年)して以来、75年以上にわたり信じられて来た医学知識ですが、高濃度のテストステロンが前立腺癌発症のリスク上昇に関係があるという考えを支持する科学的データは実は多くありません。例えて言えば、テストステロンの濃度が高い人ほど前立腺癌になり易く、低い人ほど前立腺がんになりにくいというはっきりとしたデータがないのが現状です。

    逆に、重度の性腺機能低下症(LOH 症候群)の男性において、前立腺癌の発症率が有意に高かったという報告もあり、このようなパラドックスは、現在、議論の対象になっています。
    前立腺の疾患と男性ホルモンの関係は複雑でよくわかっていない点が多く残っていますが、このような中、米国ハーバード大学のMorgentaler医師は、「前立腺飽和モデル」という新しい概念を提唱しています。 このモデルでは、飽和ポイントよりもテストステロン濃度が高ければ、血清テストステロン濃度に変化が起きても前立腺の成⻑は悪性または良性問わず、ほとんど影響を与えないというモデルです。 なぜテストステロン濃度を生理範囲よりも数回上昇させても、癌のない男性ではPSAレベルや前立腺の大きさに変化がないのかこのモデルで説明できるとしています。

    このモデルの正否はいまだ議論の真っ最中ですが、将来的には男性ホルモン補充療法の安全性に対する見方が変わり、LOH症候群の男性には前立腺疾患を防ぐ目的で男性ホルモンのコントロールが行われるようになるかもしれません。 そのような背景から、本報を踏まえた今後の動向に注目しています。  (福)

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  • 内臓および皮下脂肪の変化と性ホルモンの変化の関連性

    2017年07月05日


    <目的>
    血清性ホルモンの変化に対応した内臓脂肪組織(VAT)および皮下脂肪組織(SAT)の変化の程度は分かっていない。CTにより測定したVATおよびSAT面積の変化が性ホルモン(DHEAS、T、E2、E3、およびSHBG)の変化に関連するか否かをDiabetes Prevention Program参加者において調査した。

    <方法>
    RCTの二次分析を行った。対象は過体重および耐糖能障害の男性(n=246) および女性 (n=309)である。介入は体重減少をゴールにした生活習慣の変化および150分/週の中等度の運動、あるいはメトフォルミン850㎎の1日2回投与あるいはプラセボである。
    一次評価項目は1年間にわたるVAT、SATの変化と性ホルモンの変化の関連性である。

    <結果>
    ・ 男性において、完全調整モデルにてVATおよびSATの減少はTTおよびSHBGの有意な上昇と共に独立して関連していた。

    ・ 女性において、VATおよびSATの減少はSHBGの上昇と共に独立して関連し、E3との関連性は閉経状態により異なっていた。

    ・ 関連性は人種/民族および無作為化群により差異がなかった。

    ・ 脂肪の沈着とE2あるいはDHEASの間に有意な関連性は見られなかった。

    <結論>
    耐糖能障害の過体重成人においてVATおよびSATの減少は男性ではTTと関連し、男女両者において高SHBGと関連していた。体重減少は内臓および皮下脂肪の減少を介して性ホルモンプロフィルに影響すると思われる。

    【原著】
    J Clin Endocrinol Metab. 2017 Jun 23. doi: 10.1210/jc.2017-00967.
    Changes in Visceral Adiposity, Subcutaneous Adiposity, and Sex Hormones in the Diabetes Prevention Program.
    Kim C, Dabelea D, Kalyani RR, Christophi CA, Bray GA, Pi-Sunyer X, Darwin CH, Yalamanchi S, Barrett-Connor E, Golden SH, Boyko EJ
    Departments of Medicine, Obstetrics & Gynecology, and Epidemiology, University of Michigan, Ann Arbor, MI.

    https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28651370

     

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  • アンドロゲン欠乏は陰茎の線維化を介して勃起機能を傷害する

    2017年04月06日


    <目的>
    アンドロゲン(男性ホルモン欠乏症によるEDの原因となる海綿体線維化の機序を検討した。

    <方法>
    12週齢の健常雄性ラット40匹を無作為に4群に分けた。すなわち、正常対照群、去勢群および去勢後T(テストステロン)10㎎/kg投与群(去勢+10T群)および去勢後T20㎎/kg投与群(去勢+20T群)である。処置8週後に血清Tレベル、平均動脈圧に対する海綿体内圧比(ICP/MAP)、陰茎平滑筋細胞の組織学的変化、Smadおよび非Smad経路および細胞外マトリックス(ECM)蛋白の沈着を測定した。

    <結果>
    ・去勢群は低Tおよび低ICP/MAP比、陰茎平滑筋細胞/コラーゲン比の減少、ECM蛋白の沈着の増加、Smadおよび非Smad経路の高発現を示した。

    ・去勢+10T群は勃起機能および組織の安定性を部分的に維持した。

    ・しかし、去勢+20T群は有意に良好な勃起機能を維持し、分子レベルでの変化を防御した。

    <結論>
    適正な用量のART(アンドロゲン補充療法・男性ホルモン補充療法)は、より良好な効果を期待できる。アンドドロゲン欠乏症はSmadおよび非Smad経路の活性化およびECM蛋白の蓄積を介して海綿体線維化を誘発する。

    【ご参考】 TGF-β1 (トランスフォーミング増殖因子-β)

    GF-βとは (筑波大学 実験病理学研究室)

    トランスフォーミング増殖因子ベータ (Wiki)

    【原著】
    Andrologia. 2017 Mar 10. doi: 10.1111/and.12797.
    Androgen deficiency impairs erectile function in rats through promotion of corporal fibrosis.
    Cui K, Li R, Chen R, Li M, Wang T, Yang J, Chen Z, Wang S, Liu J, Rao K

    【弊社コメント】
    男性ホルモンの欠乏は陰茎組織の線維化を招き、ED(勃起障害)に至りますが、その機序にSmadおよび非Smad経路の活性化およびECM蛋白の蓄積があることを示唆する研究報告です。
    自ずと、男性ホルモンが欠乏しないようにすることが、EDの予防になるものと考えられます。(福)

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  • 最終糖化産物(AGE)による内皮細胞傷害に対するテストステロンの防御作用

    2017年02月06日


    <目的>
    内皮細胞に対してテストステロン(以下、T)が防御的に作用するか否かは明らかではない。生理学的Tが内皮細胞に対する最終糖化産物(AGE)の有害作用を阻止できるか否かは確認されていない。
    AGEによる内皮細胞の傷害に対するTの影響を検討した。

    <方法>
    ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を in vitro にて培養し、各種濃度のT存在下あるいは非存在下にAGE処理を行った。各群の細胞生存率をMTS試験にて測定した。初期段階のアポトーシスをAnnexin V fluorescein isothiocyanate/propidium iodide二重染色によるフローサイトメトリーにより検出し、アポトーシス関連蛋白、B細胞リンパ腫-2 (Bcl 2), Bcl 2関連X蛋白 (Bax) およびカスパーゼ3をウェスタンブロット法により測定した。
    培養液中の酸化ストレスおよび催炎症パラメータをELISA法により測定した。

    MTS試験
    MTSをホルマザン色素(紫色)へ還元する酵素活性を測定する比色定量法である。この方法により培養細胞の生存率や増殖率を試験することが可能である。様々な試薬(医薬品候補など)や毒物の細胞毒性を評価することにも用いられる。

    <結果>
    ・MTS試験の結果、AGEはHUVECの増殖を有意に抑制したが、生理学的濃度のTはこの障害を緩和した。

    ・生理学的濃度のTはカスパーゼ3およびBax/Bcl 2を介したAGEによるアポトーシスからHUBECを防御した。

    ・ HUVECのAGE処理は抗酸化パラメータを有意に減少し、マロンジアルデハイド(生体内で自然に発生する酸化ストレスの指標)およびTNFα(炎症の主な原因物質)を増加した。ヤーヌスキナーゼ2およびシグナル伝達性転写因子3(細胞の癌化に関与する転写因子) の活性化はAGE処理により有意に上昇した。しかし、生理学的Tの前処置はこれらの変化を軽減した。

    <結論>
    生理学的濃度のTはAGEによるHUVECの傷害を軽減すると思われる。

    <参考>
    ヤーヌスキナーゼ
    非受容体型チロシンキナーゼの1つである。一般にJAKやJakと略される。Jakは、機能や遺伝子の位置の違いからJak1、Jak2、Jak3、Tyk2に分けられ、それらの多くは細胞増殖、生存、発達そして分化に関与しており、特に免疫細胞や血球系細胞において重要な役割を果たしている。シグナル伝達はSTATを介して伝えられる。

    【原著】
    Mol Med Rep. 2017 Jan 19. doi: 10.3892/mmr.2017.6130.
    Protective effects of physiological testosterone on advanced glycation end product induced injury in human endothelial cells.
    Xie Y, Yu D, Wu J, Li L

    【弊社コメント】
    テストステロンを生理学的濃度に維持することが、内皮細胞の傷害を軽減し、ひいては糖尿病などにともなう障害を抑えることが期待できるのかも知れません。(福)

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  • 糖尿病のPSAレベルに及ぼす影響

    2017年02月01日


    <目的>
    最近の研究は糖尿病とPSAの間に負の関係を示している。そこで、糖尿病および正常(非糖尿病)モロッコ人男性におけるPSAレベルを調査した。

    <方法>
    モロッコのパスツール研究所において470名の糖尿病男性および869名の非糖尿病男性を検査し、断面調査を行った。
    HbA1cおよび空腹時血糖を高速液クロおよびドライケミストリーにより測定した。血清TおよびPSAは化学発光微粒子免疫法 により測定した。

    ドライケミストリー
    特定の化学反応を起こす試薬が乾燥状態で用意されていて、そこに液体状の検体が添加されると、検体中の水分を溶媒として、試薬が含まれているマトリックスの中で反応が進行するもの。

    <結果>
    ・全体で、PSAレベルは糖尿病および非糖尿病男性間で有意な差異がなかった (1.31 ± 0.04ng/mL vs.1.36 ± 0.03ng/mL, p = 0.380)。

    ・PSAレベルは両群ともに年齢とともに上昇したが、糖尿病男性では年齢に対する依存が非糖尿病男性より低かった (糖尿病男性;p =0.002、非糖尿病男性; p amplt; 0.0001)。

    ・層別分析の結果、50~59歳の男性ではPSAが糖尿病男性において非糖尿病男性より有意に低かった(p= 0.0004)。

    ・T(テストステロン)濃度には糖尿病の有無による差異が認められなかった (p= 0.904)。

    <結論>
    PSAレベルは糖尿病および非糖尿病男性において年齢依存的であったが、PSAレベルは年齢50~59歳の男性においてのみ糖尿病状態の影響を受けた。

    ■ 原著
    Curr Diabetes Rev. 2017 Jan 17.
    Prostate-Specific Antigen levels in Moroccan diabetic males: A cross-sectional study.
    Ainahi A, Barakat A, Wakrim L, Mohammadi H, Mdaghri NE, Ezzikouri S

    【弊社コメント】
    中高年男性は加齢と共に前立腺(肥大・腫瘍)のリスクが高まることが知られていて、これらの目安にPSA(前立腺特異抗原、prostate-specific antigenの略)値が用いられます。 本報では50歳代の糖尿病男性は、糖尿病でない人よりもPSAが有意に低かったとのことです。 とはいえ、糖尿病なら前立腺肥大や前立腺腫瘍のリスクが低くなると安易に考えるべきでないと思います。(福)

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  • 低カロリー食事療法実施肥満男性の脂肪および非脂肪量に対するテストステロン補充療法の影響

    2016年10月20日


    <目的>
    T(テストステロン)療法がカロリー制限以上に体組成に対して有用であるか否かは不明である。そこで、T療法はダイエットによる脂肪の減少を増強し、筋肉喪失を防御するかを検討した。

    <方法>
    三次医療センターにおいて無作為、二重盲検、平行、プラセボ比較試験を行った。対象はTTが12 nmol/L以下の肥満男性 (BMI  ≥ 30 kg/m2) 100例で、年齢の中央値は 53 歳 (四分位範囲 47-60)である。10週間の高度低エネルギーダイエット(VLED)に続き46週間の体重維持を行った。開始時から56週の間、無作為にT群(10週に1回Tアンデカノエイト筋注、n = 49, cases))またはプラセボ群(n = 51, controls)に割り付けた。
    主要評価項目はDEXAによる脂肪および非脂肪量、およびCTによる内臓脂肪面積の群間差異である。

    <結果>
    ・計82例が試験を完了した。
    ・試験終了時、P群に比してT群の脂肪量の減少は大きく、平均群間差異(MAD)は -2.9 kg (-5.7 to -0.2; P = 0.04), であり、また内臓脂肪面積のMADは-2678 mm2(-5180 to -176; P = 0.04)であった。
    ・両群ともにVLED後に非脂肪量が同様に減少したが(T群 -3.9 kg (-5.3 to -2.6); P群 -4.8 kg (-6.2 to -3.5), P = 0.36)、T群は体重維持期間に非脂肪量が回復した(3.3 kg (1.9 to 4.7), P < 0.001)。一方P群では非脂肪量の回復は有意ではなかった(0.8 kg (-0.7 to 2.3), P = 0.29) 。それゆえ、試験終了時のT群の非脂肪量の減少はP群に比して緩和され、MAD は3.4 kg (1.3 to 5.5), P = 0.002)であった。

    <結論>
    プラセボの投与を受けダイエットを行った男性は脂肪および非脂肪量の両者が減少したが、T投与を受けた男性の体重減少は殆どが体脂肪の減少によるものであった。

    <原著>
    BMC Med. 2016 Oct 7;14(1):153.
    Effects of testosterone treatment on body fat and lean mass in obese men on a hypocaloric diet: a randomised controlled trial.
    Ng Tang Fui M, Prendergast LA, Dupuis P, Raval M, Strauss BJ, Zajac JD, Grossmann M

    (さらに…)

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  • 肥満手術によるテストステロンおよびSHBGの変化

    2016年10月20日


    <目的>
    肥満は男性の性腺機能低下症のリスク因子であり、体重減少は肥満男性の性腺機能低下症を改善する。そこで、肥満手術後の性ホルモンの早期の変化を調査した。

    <方法>
    29例の病的肥満男性を対象に前向きの研究を行った。主要評価項目は術後1およぼ6ヶ月後のTT(総テストステロン)、FT(フリー・テストステロン)、SHBG、E2、アディポネクチンおよびレプチンの変化である。

    <結果>
    ・対象の平均年齢は31 ± 8 歳、および平均BMIは56.8 ± 11.7 kg/㎡であった。
    ・15例が.ルーワイ胃バイパス術を、14 例がスリーブ状胃切除術を行った。.
    ・術前、22例(75.9%)が低 TT  (<10.4 nmol/L) 、あるいは低FT (<225 pmol/L)のいずれかであった。
    ・手術1ヶ月後TTおよびSHBGは有意に上昇した(p ≤ 0.001)。
    ・6カ月後、TT およびFT は有意に上昇し(p ≤ 0.001)、 22 例 (75.9%)は TT およびFTが正常化した。
    ・E2レベルは1および6ヶ月後ともに変化がなかった。

    <結論>
    肥満手術1ヶ月後にTTおよびSHBGは上昇した。一方、FTは6ヶ月後に改善が見られた。

    <原著>
    Int J Endocrinol. 2016;2016:1416503. Epub 2016 Sep 20.

    Changes in Testosterone Levels and Sex Hormone-Binding Globulin Levels in Extremely Obese Men after Bariatric Surgery.

    Boonchaya-Anant P, Laichuthai N, Suwannasrisuk P, Houngngam N, Udomsawaengsup S, Snabboon T

     

    (さらに…)

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  • 射精頻度と前立腺癌リスクの関連性-2004年以降の追跡調査研究

    2016年10月03日


    <目的>

    エビデンスは射精回数が前立腺がん(PC)リスクと逆向きに比例する事を示し、PCに対するいくつかの修飾リスク因子が明らかになっている。

    これまでに報告した射精回数とPCの関連性に関する分析に、その後10年間の追跡調査結果を加え、さらに臨床的に関連する疾患群および他の原因による死亡の影響を加え、総合的に分析した。

    <方法>

    平均月間射精回数に関する自己報告データが活用できるHealth Professionals Follow-up Studyの参加者にて前向きのコホート研究を行った。

    対象は1992年の質問票調査にて射精回数を回答し、その後2010年まで調査した31,925例の男性である。月間射精回数を20~29歳、40~49歳および質問票配布前年の3時点にて算定した。

    一次評価項目は総PCの発症および臨床的に関連のある疾患である。ハザード比(HR)および95%CIをコックスモデルにて求めた。

    <結果>

    ・480831 person-yearsのおいて3,839例がPCと診断された。

    ・40~49歳の射精頻度は年齢標準化BMI、身体活動、離婚、性感染症の病歴、および総カロリーおよびアルコール摂取量とポジティブに関連していた。

    ・2008年のPSAテストの実施、PSAテスト回数および前立腺生検頻度はいずれの射精頻度においても差異がなかった。

    ・多変量分析において、射精頻度21回以上のPC発症HRは4~7回の射精頻度に比して20~29歳で0.81 (95% CI 0.72-0.92; p<0.0001 for trend)および40~49歳で0.78 (95% CI 0.69-0.89; p<0.0001 for trend)であった。

    <結論>

    この結果はPCの病因において成人世代を通じて高頻度の射精は有益な役割をはたしているというエビデンスを加えるものである。

     

    Eur Urol. 2016 Mar 28. pii: S0302-2838(16)00377-8. doi: 10.1016/j.eururo.2016.03.027.

    Ejaculation Frequency and Risk of Prostate Cancer: Updated Results with an Additional Decade of Follow-up.

    Rider JR, Wilson KM, Sinnott JA, Kelly RS, Mucci LA, Giovannucci EL

    (さらに…)

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