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Category:総説・レビュー

  • 男性におけるテストステロン合成に対するアルコールの影響~レビュー

    2023年03月07日


    <目的>

    アルコールの視床下部-下垂体-性腺軸の各レベルへの影響を調べることで、男性のテストステロン(T)合成に対するアルコールの影響を検討した。

    <結果>

    ・低~中程度量のアルコールの急性摂取はテストステロン濃度を上昇する一方、大量のアルコール摂取は血清テストステロン濃度の低下と関連する。

    テストステロン濃度の上昇は、肝臓の解毒酵素の活性上昇に起因している。

    ・逆に、テストステロン減少に関わる主な作用機序は、視床下部-下垂体-副腎軸の活性亢進、炎症および酸化ストレスである。

    ・アルコールが過剰に、特に慢性的に摂取されると、男性のテストステロン産生に悪影響を及ぼす。

    <専門家の意見>

    テストステロンは男性の健康とウェルビーイングに対する重要な要素であるため、世界の多くの国々における現在のアルコール消費量には緊急の注意が必要である。アルコール摂取とテストステロンの関係を明らかにすることは、過度および慢性的なアルコール摂取によるテストステロン減少の影響を軽減するための戦略を特定する上で有用である。

     

    【原著】

    Expert Rev Endocrinol Metab. 2023 Mar 7:1-12.

    The effects of alcohol on testosterone synthesis in men: a review.

    Smith SJ, Lopresti AL, Fairchild TJ.

    Clinical Research Australia, Perth, Australia.

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  • 腸内細菌叢(そう)と前立腺がん及びアンドロゲンとの関連性~レビュー

    2022年04月06日


    腸内細菌は、アルツハイマー病、関節リウマチ、大腸がんなど、いくつかの病気と関連している。また、腸内細菌は免疫機能の調節にも関連しており、その結果、免疫チェックポイント療法に対する反応が異なることが分かっている。腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)は、ライフスタイル、食事、性別、人種、遺伝的背景、国によって異なる。生活習慣、特に食事は、前立腺がんの発症と進行に重要な役割を果たしている。

    最近の研究により、腸内細菌と前立腺がんの関係が明らかになっている。高脂肪食は腸内細菌の異常を引き起こし、短鎖脂肪酸やリン脂質などの腸内細菌代謝産物が全身循環に入り、結果として前立腺がんの増殖を促進する。

    さらに、腸内細菌叢は、前立腺がんの進行に影響を与えるテストステロンの供給源として機能可能である。去勢抵抗性前立腺がんの男性では、アンドロゲン機能を持つ腸内細菌が増加している。高リスクの前立腺がんの男性は、特定の腸内細菌プロファイルを共有しており、腸内細菌叢のプロファイリングは、高リスクの前立腺がんの男性をスクリーニングするための有効なツールとなる可能性がある。

    生活習慣の修正により、腸内細菌叢を改善することができる。さらに、プレバイオティックやプロバイオティックの介入により腸内細菌叢を変化させることで、前立腺がんの発生を予防または遅延させることができるかもしれない。「腸-前立腺軸」に関する研究の進展は、前立腺がんの予防、スクリーニング、治療に関する新たな戦略の発見につながるであろう。

     


     

    Gut microbiome and prostate cancer.

    Fujita K, Matsushita M, Banno E, De Velasco MA, Hatano K, Nonomura N, Uemura H.

    Department of Urology, Kindai University Faculty of Medicine, Osakasayama, Japan.

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  • GSM(閉経関連泌尿性器症候群):有病率と治療に関するシステマティック・レビュー

    2021年03月15日


    【 目的 】

    GSMの有病率とその治療法についての論文を系統的にレビューした。

    【 方法 】

    PubMed、CENTRAL、EMBASEにて論文検索を2020年10月まで実施した。システマティックレビューの対象は、閉経後の女性または40歳以上の女性において、婦人科検診の有無にかかわらずGSM症状の有無を評価するアンケートや問診によって行われた研究および調査である。

    【 結果 】

    ・事前に定義した対象/除外基準を適用した結果、27件の研究がシステマティックレビューの対象となった。

    ・膣の乾燥、刺激、かゆみ、性交疼痛症などのGSM関連症状の有病率は13%から87%であった。

    ・GSMに特化した治療の使用率は、13%から78%であった。

    ・市販の潤滑剤および保湿剤が最も人気のある治療法であり(24.0%~85.5%)、次いで低用量の膣エストロゲン(4.8%~35.0%)であった。

    ・膣の健康について診察時に医師と話し合われることは少なく、症状や治療法の選択肢の数についての認知度は低い。

    ・女性は、ホルモン療法の長期的な安全性と副作用を懸念している。

    ・泌尿器系症状に悩む女性の大多数は、使用した治療法に不満を持っている。

    【 結論 】

    GSMは高頻度に見られるが、その原因や治療法についてはあまり知られていない。このレビューの結果は、GSMの診断と治療法に関する患者および医療従事者への教育の必要性を明らかにしている。

    【原著】

    Genitourinary syndrome of menopause: a systematic review on prevalence and treatment.

    Mili N, Paschou SA, Armeni A, Georgopoulos N, Goulis DG, Lambrinoudaki I.

    Menopause. 2021 Mar 15;28(6):706-716. doi: 10.1097/GME.0000000000001752.

    2nd Department of Obstetrics and Gynecology, Medical School, National and Kapodistrian University of Athens, Athens, Greece.

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    カテゴリマーク男性ホルモン
    (アンドロゲン・テストステロン)

    男性ホルモン(アンドロゲン・ テストステロン)

    テストステロンと心血管系の関連性に関する機序の研究成果

    2018年05月14日


    • テストステロン(T)欠乏は心血管疾患(CVD)の男性で一般的であり、無作為プラセボ比較試験(RCT)は慢性安定性狭心症患者の労作性心虚血、慢性心不全(CHF)患者の運動耐容能、運動時最大酸素消費量(VO2max)および筋力、Q-T間隔の短縮および幾つかの心血管リスク因子の改善に対するTの有用性を報告している。
    • T欠乏は有害なCVリスクプロフィルおよび死亡と関連している。
    • 臨床的および科学的研究はRCTの結果を支持し、それを説明する機序的エビデンスを提供している。
    • Tは冠動脈循環および肺血管を含む他の血管床における急速な動脈拡張作用を有し、全身の末梢血管抵抗を下げる可能性がある。
    • Tは直接的な非ゲノム的機序によりCaチャネルのブロック(L-Caチャネル)を介して血管反応性に対する作用を媒介し、Kチャネルの開口を刺激する事をエビデンスは示している。
    • Tはまた超高速Kチャネル電流を刺激する事により心筋細胞の脱分極を刺激する。
    • TはCHF患者の心拍出量、運動耐容能、VO2maxおよび迷走神経を介した動脈圧受容器心臓反射感受性を改善する。
    • 心機能に対するTの有用性とは別に、T補充は骨格筋糖代謝を増やし、筋力を高める。運動耐容能の改善に寄与する因子が糖代謝および筋力の完全に関わっている可能性がある。
    • Tは体組成、ゲノムおよび非ゲノム的な作用の両者による糖利用および脂質代謝の改善によりインスリン抵抗性及び高脂血症を含むメタボリックなCVリスク因子を改善する。それには糖取り込みおよびインスリン受容体の発現、グルコース・トランスポーターおよびキー代謝経路の調整蛋白の発現が関わっている。
    • HDL-Cに対する作用はスタディにより、下降、上昇あるいは変化しないと異なっている。
    • T補充はCVD男性患者において血清催炎症サイトカインレベルを抑制し、抗炎症および抗動脈硬化作用を有するIL-10の産生を刺激すると思われる。CRPに対する影響は観察されていない。
    • 凝固因子に対する有害作用は認められていない。
    • Tが頸動脈内膜中膜厚あるいは冠動脈Ca沈着のような動脈硬化の代理マーカーを改善するあるいは悪化するという有意なエビデンスをRCTは明確に示していない。
    • 動脈硬化の予防あるいは改善に関するTの影響はスタチン療法で認められると同様に数年を経過して現れると思われ、TのRCTで使用されている数カ月では生じないと思われる。
    • 長期的な疫学的研究からの重要なエビデンスは、T欠乏男性の臨床試験において示された主要心血管イベント(MACE)および死亡の減少といった防御作用を支持している。
    • 正常健康レベルにTを補充したRCTはMACEに関して有意な有用性あるいは有害作用を報告していない。また最近のメタ解析も同様である。

     

    Asian J Androl. 2018 Mar-Apr;20(2):120-130. doi: 10.4103/aja.aja_6_18.

    Randomized controlled trials – mechanistic studies of testosterone and the cardiovascular system. (原著フリー

    Jones TH, Kelly DM
    Robert Hague Centre for Diabetes and Endocrinology, Barnsley Hospital NHS Foundation Trust, Barnsley, UK.

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  • 更年期女性の泌尿生殖器症状に対する腟内エストロゲン療法のレビュー

    2015年04月08日


    ■ 目的
    泌尿生殖器症状を有する更年期女性に対する腟内エストロゲン投与に関する論文の総合的レビューおよび厳密な評価を行った。

    ■ 方法
    データソースとして2013年4月までのMEDLINEおよびコクラン・データベースを調査した。データの収集基準はRCTおよび前向きの比較試験である。介入に用いられた薬剤および比較薬剤は全ての販売されている腟内エストロゲン製剤である。
    1,805の抄録をダブル・スクリーンし44の該当論文を同定した。異論がある場合は第三のレビュアーに判断を仰いだ。各研究を個々およびグループでエビデンスの方法論的質および強度を評価した。
    各論文より被験者、使用薬剤、比較薬剤、およびアウトカム・データを抽出した。アウトカムデータは患者報告の萎縮症状(腟乾燥感、性交痛、乏尿、尿意切迫、頻尿、再発性尿路感染症、および腹圧性失禁)、萎縮の他覚所見、尿流動態、子宮内膜に対する影響、血中E2濃度の変化および有害事象である。

    ■ 結果
    ・ 腟内エストロゲンはプラセボに比して腟乾燥、性交痛、尿意切迫、頻尿および腹圧性尿失禁および切迫性尿失禁を改善した。
    ・ 尿路感染率は減少した。
    ・ 種々のエストロゲン製剤は同様の効果と安全性を示した。
    ・ 血清E2レベルは高用量CEEクリームを除いて閉経女性の正常範囲にあった。
    ・ 子宮内膜過形成および腺がんは極めてまれであった。
    ・ 腟内エストロゲン剤を非ホルモン性の湿潤剤と比較すると2つ以上の外陰部腟症状を有する患者では腟内エストロゲン剤の改善効果が勝っていた。しかし症状が一つなしい軽度の患者では効果に差異がなかった。

    ■ 結論
    全ての販売されている腟内エストロゲン剤は外陰部腟症状に有効であり、尿意切迫、頻尿あるいは夜間尿、および腹圧性および切迫性失禁および再発性尿路感染にも有用である。
    非ホルモン性の湿潤剤は一つあるいは軽度の萎縮関連症状およびエストロゲン関連腫瘍のリスクのある患者には有用である。

    ■ 原著
    Obstet Gynecol. 2014 Dec;124(6):1147-56.
    Vaginal estrogen for genitourinary syndrome of menopause: a systematic review.
    Rahn DD, Carberry C, Sanses TV, Mamik MM, Ward RM, Meriwether KV, Olivera CK, Abed H, Balk EM, Murphy M; Society of Gynecologic Surgeons Systematic Review Group.

    ■ 弊社コメント
    下部尿路症状に有用性が認められています。(野)

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  • 睡眠異常とテストステロンの関係

    2014年07月28日


    ■ 目的
    血清テストステロン・レベルおよび正常および異常睡眠との間の関係に関する最近のデータおよびコンセプトについてレビューした。

    ■ 最近の知見
    日内リズムおよび睡眠生理の性差は部分的に性ホルモンの組織的活性化作用によるものである。 テストステロンは日内リズムおよびタイミングの統合に関わっているが睡眠の長さには関わっていない。 思春期のテストステロンの上昇は就眠時間を遅らせる。 テストステロンの日周変動はサーカディアンリズムおよび季節よりも睡眠に依存している。
    思春期の始まりは男性化の前に睡眠中のLHレベルの上昇( 3.7 U/l以上)により予知される。
    全睡眠遮断はテストステロンを下げるが、睡眠制限は前半の制限においてのみテストステロンを下げる。不眠からのテストステロンの回復は若齢齧歯類に比して高齢齧歯類において障害されている。
    閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)の男性において、低テストステロンはOSAそれ自体よりも肥満に関連しており、体重低下により改善するが持続的気道陽圧(CPAP)は十分改善しない。
    テストステロン療法は一過性にOSAの重度を悪化する。従いその使用は禁忌である。

    ■ サマリー
    肥満あるいは抑うつ等による二次性の性腺機能低下症の男性においてテストステロン療法は全般的な異常の改善に比して睡眠に対する有用性は期待できない。

    ■ 原著
    Curr Opin Endocrinol Diabetes Obes. 2014 Jun;21(3):239-43.
    The relationship between sleep disorders and testosterone.
    Wittert G.

     

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  • テストステロンの心血管系に及ぼす有用性とリスク

    2014年06月30日


    ■ 要約
    テストステロンの欠乏は心血管疾患(CVD)を有する男性において高率に認められ、死亡率の上昇と関連している。低テストステロンはインスリン抵抗性、糖尿病、脂質異常、内臓肥満および内皮機能異常等の心血管リスク因子に対し悪影響をもたらす。

    男性という性は早期のCVDおよび死亡率に対するリスク因子としてよく知られている。 テストステロンの欠乏はアテローム形成の寄与因子か、あるいは単に病態のバイオマーカーに過ぎないか否かという疑問が挙がっている。

    動物実験および in vitro での研究結果はアテローム形成に関する機序がテストステロンによって抑制的に調整されている事を示している。

    疫学的研究は中等度~正常上限内の内因性テストステロン・レベルの男性は低テストステロンおよび高テストステロンの男性に比して心血管イベントが減少していた事を示した。

    性腺機能低下男性に対する正常レベルのテストステロン補充は心臓虚血、機能的運動容量等の幾つかの心血管リスク因子に対し有用効果を示し、死亡率を改善した。

    しかし、未治療あるいは高用量のテストステロンの研究では心血管関連イベントのリスク上昇と関連していた。

    それゆえ、臨床的モニターおよびテストステロン用量の適正化が非常に重要である。

    ■ 原著
    Front Horm Res. 2014;43:1-20. Epub 2014 Jun 10.
    Testosterone and cardiovascular risk in men.
    Kelly DM, Jones TH.

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  • 性機能障害に対するヨヒンビンを含む補完代替医療(CAM)の有効性に関するレビュー

    2012年11月21日


    【 目的・方法 】
    性機能障害(SD)あるいは勃起不全(ED)の高齢男性はしばしば補完代替医療(CAM)を用いる。このレビューはCAMの有効性に対するエビデンスの評価を厳密に行った。
    全ての関連性のあるシステマティック・レビュー(SR)を見出すため6つの電子データベースを調査した。方法論的質はOxman scoreを用いて独立した2人のレビュアーにより評価した。

    【 結 果 】

    • 4つのSRが基準に合致していた。鍼治療、チョウセン人参、マカおよびヨヒンビンである。
    • 全SRの方法論的質は “good” である。しかし、ベースの研究はバイアスのリスクが無視できない程度にある。
    • 結論としてEDの治療オプションにヨヒンビンおよび朝鮮人参が取り上げられている。
    • 鍼治療およびマカはEDおよびSDに対するエビデンスが不十分である。

    【 結 論 】
    若干の強いエビデンスはあるがSDおよびEDに対するCAMの価値を確立するため、多くの質の高い研究が必要である。

    【 原 著 】
    Maturitas. 2011 Sep;70(1):37-41. Epub 2011 Jul 22.
    Complementary and alternative medicine (CAM) for sexual dysfunction and erectile dysfunction in older men and women: an overview of systematic reviews.
    Ernst E, Posadzki P, Lee MS.
    Complementary Medicine, Peninsula Medical School, University of Exeter, Exeter, UK

    【 弊社コメント 】
    著者のErnst Eは、ヨヒンビンのシステマティック・レビューを行った人です。原著での確認が必要ですが、ヨヒンビンに関して新たなデータはないと思われます。 ヨヒンビンの位置づけが補完代替医療(CAM)になっています。(野)

    補完代替医療の社会的背景は、公的医療費の削減にあると思いますが、欧米でヨヒンビンが根拠のある補完代替医療の選択肢として認められることは、本邦におけるヨヒンビン製剤がOTC(市販薬)としてED治療の選択肢である現状を支持すると考えます。(福)

    (さらに…)

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