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更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。

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Category:男性の性機能

  • 性機能障害に対するヨヒンビンを含む補完代替医療(CAM)の有効性に関するレビュー

    2012年11月21日


    【 目的・方法 】
    性機能障害(SD)あるいは勃起不全(ED)の高齢男性はしばしば補完代替医療(CAM)を用いる。このレビューはCAMの有効性に対するエビデンスの評価を厳密に行った。
    全ての関連性のあるシステマティック・レビュー(SR)を見出すため6つの電子データベースを調査した。方法論的質はOxman scoreを用いて独立した2人のレビュアーにより評価した。

    【 結 果 】

    • 4つのSRが基準に合致していた。鍼治療、チョウセン人参、マカおよびヨヒンビンである。
    • 全SRの方法論的質は “good” である。しかし、ベースの研究はバイアスのリスクが無視できない程度にある。
    • 結論としてEDの治療オプションにヨヒンビンおよび朝鮮人参が取り上げられている。
    • 鍼治療およびマカはEDおよびSDに対するエビデンスが不十分である。

    【 結 論 】
    若干の強いエビデンスはあるがSDおよびEDに対するCAMの価値を確立するため、多くの質の高い研究が必要である。

    【 原 著 】
    Maturitas. 2011 Sep;70(1):37-41. Epub 2011 Jul 22.
    Complementary and alternative medicine (CAM) for sexual dysfunction and erectile dysfunction in older men and women: an overview of systematic reviews.
    Ernst E, Posadzki P, Lee MS.
    Complementary Medicine, Peninsula Medical School, University of Exeter, Exeter, UK

    【 弊社コメント 】
    著者のErnst Eは、ヨヒンビンのシステマティック・レビューを行った人です。原著での確認が必要ですが、ヨヒンビンに関して新たなデータはないと思われます。 ヨヒンビンの位置づけが補完代替医療(CAM)になっています。(野)

    補完代替医療の社会的背景は、公的医療費の削減にあると思いますが、欧米でヨヒンビンが根拠のある補完代替医療の選択肢として認められることは、本邦におけるヨヒンビン製剤がOTC(市販薬)としてED治療の選択肢である現状を支持すると考えます。(福)

    (さらに…)

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  • ヨヒンビンは2型糖尿病モデルGKラットの膵島血流量を正常化する

    2012年11月21日


    【 目的・方法 】
    α2Aアドレノ受容体の過剰発現がGKラットの2型糖尿病の原因となっている。 α2受容体の阻害がランゲルハンス島の血流量に影響するか否かを検討した。
    麻酔GKおよびウィスターF(WF)ラットにα2Aアドレノ受容体拮抗剤ヨヒンビンを 2.5mg/kg 静脈内に投与し、膵島血流量および血糖レベルを測定した。

    【 結 果 】

    • GKラットはWFラットより血糖値およびインスリン濃度が高かった。 ヨヒンビンはWFラットにおいてはこれらに影響しなかったが、GKラットにおいては血糖値を下げインスリン濃度を上昇した。
    • 全膵臓および膵島血流量はGKラットにおいてWFラットに比して上昇していた。 ヨヒンビンはWFラットの血流量には影響しなかったが、GKラットの膵島血流量をWFラットのレベルに減少した。

    【 結 論 】
    α2アドレノ受容体の過剰発現がGKラットの血流量上昇の原因となっている可能性がある。 薬理学的に治療の標的となりうる。

    【 原 著 】
    Horm Metab Res. 2012 Sep 26.
    The α2-Adrenoceptor Antagonist Yohimbine Normalizes Increased Islet Blood  Flow in GK Rats: A Model of Type 2 Diabetes.
    Sandberg M, Pettersson U, Henriksnas J, Jansson L.
    Department of Medical cell Biology, Uppsala University, Uppsala, Sweden.

    【 弊社コメント 】
    ヨヒンビンに新たな可能性があるかもしれません。(野)

    GKラットは2型糖尿病モデルのラットですが、2型糖尿病の原因と言われるα2受容体の異常発現を、α2ブロッカーであるヨヒンビンで阻害することにより、2型糖尿病であるGKラットの血糖値を下げたとのことです。 2型糖尿病に合併したEDの男性には、ヨヒンビン製剤に血糖値低下の副効用があるかも知れません。
    ただし、本報の「2.5mg/kg 静脈内に投与」というのは、体重60kgの人であれば、実にヨヒンビン 150mg(弊社製品「ガラナポーン」30錠分相当)を血中に直接投与するわけで、人であれば極めて危険ですし、そもそもヨヒンビンは2相性の作用があり、低用量と高用量では作用が異なるという指摘もありますので、検証・確認すべき課題は多々あります。(福)

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  • EDを有する高齢男性のテストステロン欠乏の頻度

    2012年11月08日


    【 目 的 】
    EDの原因の一部はホルモンである。しかし、65歳以上の男性ではテストステロン欠乏が大きな要素となっている。 しかしながら、健康状態が良好ではない65歳以上のポーランド人男性における、EDを合併するテストステロン欠乏症の頻度は分かっていない。

    【 方 法 】
    EDを有する65歳以上の男性286例について勃起機能をIIEF5による調査を行い、テストステロンを測定した。

    【 結 果 】

    • テストステロン欠乏症の発現頻度はTT200,
      250, 300 および 350 ng/dL以下がそれぞれ17, 33, 42 および 57%であった。正常範囲(>350
      ng/dL)の男性は47%に過ぎなかった。
      (訳注: どちらかの数値に誤りがあります)
    • EDの程度はテストステロン最下位群で最も高く、軽度が
      39.5%、軽度~中等度が 26.2%、中等度が18.2% および重度が16%であった。
    • 年齢とTTの間(r = -0.3328, p
      < 0.05)、IIEF-5 スコア と TTの間(r = -0.3149, p < 0.05) およびIIEF-5 スコアと年齢の間(r = -0.3463, p < 0.05)に それぞれ負の相関関係が認められた。
    • 最も多く認められたメタボリックな以上は肥満(68% in
      men with TT >350 ng/dLで68%、 TT <350 ng/dLで91%) および脂質異常(それぞれ54
      および95%)であった。
    • 肥満、年齢および脂質異常はテストステロンの低下と相関していた。
    • 空腹時血糖の異常はテストステロンに影響されなかった。

    【 結 論 】
    テストステロン欠乏症はEDを有するポーランド人男性に高頻度に認められ、年齢、肥満および脂質異常と負相関している。

    【 原 著 】
    Aging Male. 2012 Oct 24.
    The high prevalence of
    testosterone deficiency in population of Polish men over 65 years with
    erectile dysfunctions.

    Rabijewski M, Papierska L, Kozakowski J, Zgliczyński W.
    Department of Endocrinology, Medical Centre for Postgraduate Education ,
    Warsaw , Poland.

    【 弊社コメント 】
    EDを有する高齢男性のテストステロン欠乏の頻度は、ありそうなデータですが、具体的にはなかなか出て来ないので、貴重です。(野)

     

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  • EDに対するテストステロンおよびPDE5阻害剤の併用療法 (レビュー)

    2012年11月08日


    【 要 約 】
    テストステロン欠乏症はED患者のPDE5阻害剤の臨床効果を低下すると思われる。 性腺機能低下患者において、テストステロン補充はシルデナフィルあるいはタダラフィルによる治療に効果の無かった患者の性機能の亢進と関連している。

    そこで、PDE5阻害剤単独療法で効果がなかったEDおよび低~正常下限テストステロンレベルの男性におけるテストステロンとPDE5阻害剤併用療法を検討した臨床試験のレビューを行った。

    調査した臨床試験は幾つかが方法論的欠点があり、様々なものがあった。 全体的にはPDE5阻害剤へのテストステロンの付加は、単独療法に効果がなく、総テストステロン値が 300ng/dL
    未満のED患者に有用と思われる。

    無作為コントロール比較ニ重盲検試験が必要であり、それにより適正な対象、テストステロンのカットオフ値、用量、併用期間を定める必要がある。

    【 原 著 】
    Can Urol Assoc J. 2012 Aug;6(4):269-74
    Synergetic effect of testosterone and
    phophodiesterase-5 inhibitors in hypogonadal men with erectile dysfunction:
    A systematic review.

    Alhathal N, Elshal AM, Carrier S.
    Division of
    Urology, Department of Surgery, McGill University, Montreal, QC.

    【 弊社コメント 】
    テストステロンの分泌が低い人で、PDE5阻害剤(バイアグラ・レビトラ・シアリス)だけではEDが改善できない人の場合に、PDE5阻害剤とテストステロン補充の併用療法が有用と思われます。 ただし、それを言い切るために必要となる厳格な研究は、未だ十分に出来てないようです。(福)

     

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  • ED合併2型糖尿病患者の糖-代謝プロファイル

    2012年05月21日


    【 目的・方法 】
    ED合併2型糖尿病患者の糖-代謝プロフィルを調査した。2型糖尿病男性88例、平均年齢 62.78±9.26歳について調査を行った。IIEFにて性機能症状を、SAS(self-rating anxiety scale)にて不安症状を、および SDS(self-rating depression
    scale)にてうつ症状を評価した。
    BMI、腹囲、HbA(1c)、空腹時血糖(FPG)、空腹時インスリン(FPI)、 HOMA
    指数、脂質、総テストステロン、遊離テストステロン、DHTおよびSHBGを測定した。

    【 結果 】

    • IIEF調査票にて、50例(56.8%)がEDであり、残る38 例(43.2%)はEDでなかった。
    • ED群の70.0%が喫煙者であり、非ED群の57.9%より有意に多かった(p<0.05)。
    • ED群の38.0%が慢性虚血性疾患の病歴があり、非ED群の23.7%より多かった(p<0.05 between the two
      groups)。
    • ED群はより高齢で、驚くべきことにHbA(1c)が低かった。さらに、ED群はFPIが高く、テストステロンおよびDHTが低かった。

    【 結論 】
    イタリアの2型糖尿病男性、平均年齢62歳のED発症率は56%で、高FPIであるがHbA(1c)は低く、テストステロンおよびDHTの低下とリンクしていた。

    【 原著 】
    Endocr J. 2012 Apr 26.
    Glyco-metabolic profile among
    type 2 diabetic patients with erectile dysfunction.

    Derosa G, Tinelli C,
    D’Angelo A, Ferrara G, Bonaventura A, Bianchi L, Romano D, Fogari E,
    Maffioli P.
    Department of Internal Medicine and Therapeutics, Fondazione
    IRCCS Policlinico S. Matteo, University of Pavia, Pavia , Italy

    【 弊社コメント 】
    対象の選択基準、方法は分かりませんが、ED合併群のHbA(1c)値が注目されます。一般的には糖尿病がより重度で高いのではないかと思いますが・・・。(野)

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  • ビタミンDとテストステロンはポジティブに関連する

    2012年01月30日


    【 目的 】
    小規模の無作為比較試験によりビタミンD
    [25(OH)D]がテストステロンの産生を増加する事が示されている。これは動物実験および25(OH)Dとテストステロンのポジチブな関連性および両者の一致した季節変動を示す断面的観察研究により支持されている。

    【 方法 】
    25(OH)Dレベルと遊離テストステロンの断面的関連性を調査した。対象はHealth
    Professionals Follow-up
    Studyに参加した1352例の男性である。

    【 結果 】

    • 25(OH)Dは総および遊離テストステロン・レベルとポジチブに関連していた。
    • 25(OH)Dの最下位五分位から最上位の多変量調整平均値(95%CI)は総テストステロンが18.5(17.7; 19.4)、19.4(18.6; 20.2)、19.6(18.8; 20.4)、20.1(19.3; 20.9)、および
      20.0(19.1; 20.8); p-trend=0.003、遊離テストステロンが97.7 (93.9; 101.5)、98.2 (94.1;
      102.2)、 99.2(95.2; 103.2), 100.7(96.9; 104.5) および101.5(97.6; 105.4;
      p-trend=0.03)であった。
    • 25(OH)Dと総および遊離テストステロンの関連性を示す用量反応曲線の形状は25(OH)Dの低値(約 75-85
      nmol/l以下)領域では直線的で高値領域でプラトーに達した。
    • 25(OH)Dと異なりテストステロン濃度には季節的変動が見られなかった。

    【 結論 】
    本結果はこれまでに報告されているビタミンDとテストステロンのポジティブな関連性を支持するものであるが、平行した季節的変動パターンは認められなかった。

    【 原著 】
    Clin Endocrinol (Oxf). 2012 Jan 2. doi: 10.1111/j.1365-2265.2012.04332.x.
    Association between plasma 25-OH vitamin D and
    testosterone levels in men.

    Nimptsch K, Platz EA, Willett WC, Giovannucci
    E.
    Departments of Nutrition Epidemiology, Harvard School of Public Health,
    Boston, MA, USA

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