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Category:うつ

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    カテゴリマーク男性ホルモン
    (アンドロゲン・テストステロン)

    男性ホルモン(アンドロゲン・ テストステロン)

    テストステロンの変化は積極的行動に対する勝利の影響に介在する

    2013年04月19日


    【 目的 ・ 方法 】
    テストステロンは競争の中で上昇し、勝者は敗者に比してその上昇が維持される。 この神経内分泌学的反応は将来の支配的行動に影響する事が理論的モデルにより提唱されている。 動物モデルの研究ではこのモデルが支持されるが、ヒトの社会的行動に適用できるというエビデンスは少ない。
    今回の研究は、勝利あるいは敗北の経験を無作為に得た男性および女性において、その後の積極的な行動をバリデートした行動評価法により測定した。

    【 結 果 】

    • 男性において勝者は敗者に比してテストステロンが上昇したが、女性では異なっていた。
    • より重要な事は、男性では競合によるテストステロンの反応性が競合後の積極的な行動に対する勝利の効果をメディエイトする事である。 しかし女性ではこのような事はなかった。

    【 考 察 】
    現在の研究の限界(ステータスの影響の可能性)、また積極的な行動に対するテストステロンの影響に関する神経学的機序について議論した。

    【 原 著 】
    Psychoneuroendocrinology. 2013 Apr 12.
    Changes in testosterone mediate the effect of winning on subsequent aggressive behaviour.
    Carre JM, Campbell JA, Lozoya E, Goetz SM, Welker KM.
    Wayne State University, United States.

     

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  • 慢性心不全男性患者における運動療法中のテストステロン補充

    2012年12月04日


    【 目的 】
    慢性心不全(CHF)に低テストステロンを伴う男性患者における12週間運動プログラムとテストステロン(筋注)補充および非補充の有用性を検討した。

    【 方法 】
    男性CHF患者41例、平均年齢67.2歳( 51~84歳 )、総テストステロン10.7 ± 2.6 nmol/L (309 ± 76 ng/dL) を運動+テストステロン(T)または+プラセボ群に無作為に割り付けた。評価項目は往復歩行テストおyび筋力の増分、心エコー検査、N末端プロBNP、うつ症状(Beck Depression Inventory)、および健康関連QOL (Minnesota Living with Heart Failure Questionnaire and Medical Outcomes Study Short-Form)。

    【 結果 】

    • 試験脱落率は30%であったが、試験を完了した患者における運動および注射のコンプライアンスは100%であった。
    • T併用および非併用群間に往復歩行テスト (18% vs 19%)、身体容量(-1.3 kg vs -1.0 kg), および握力(2.1 kg vs 2.5 kg) の変化に差異はなかった。
    • T+運動併用群は開始時から最大酸素摂取量(P < .01), うつ症状(P < .05), 足の強度 (P < .05), および Medical Outcomes Study Short-Form quality of life の数ドメイン(P < .05)が有意に改善した。 これらはプラセボ+運動群では変化見られなかった。
    • 心エコー検査、N末端プロBNPおよび炎症マーカーには殆ど変化がなかった。

    【 結論 】
    この報告は、低テストステロンの慢性心不全患者における運動療法中のテストステロン補充が可能であり、健康アウトカムに好影響を及ぼす事を示す最初のものである。

    【 原著 】
    Am Heart J. 2012 Dec;164(6):893-901.. Epub 2012 Oct 30.
    Testosterone
    therapy during exercise rehabilitation in male patients with chronic
    heart failure who have low testosterone status: A double-blind
    randomized controlled feasibility study.

    Stout M, Tew GA, Doll H, Zwierska I, Woodroofe N, Channer KS, Saxton JM.
    Department of Cardiology, University Hospital of South Manchester, Manchester, United Kingdom.

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  • テストステロンと自殺企図の関係

    2012年04月10日


    【 概 要 】

    • 自殺企図のある男性はテストステロン値が低い。そうでない報告もあるが、概ね低い報告が多い。
    • 脳機能、気分、認知機能、攻撃性にテストステロンは深く関わっており、またこれらは自殺衝動に関わる。
    • 他人に対しての攻撃性と自己への攻撃性は、実質的に同じものである。
    • 臨床および疫学的観察では、自殺企図者は暴力犯罪者と性格に共通することが示唆される。
    • 攻撃性と自殺との間に関連性が観察される。

    【 原 著 】

    Testosterone and suicidal behavior.  [ PDF形式 Full Text ]

    Expert Rev Neurother. 2012 Mar;12(3):257-9.

    Leo Sher
    James J Peters Veterans’Administration Medical Center, 130 West KingsbridgeRoad, Bronx, NY 10468, USA and Mount Sinai School of Medicine, NY, USA

    【弊社コメント】
    上記の事実を踏まえ、テストステロンが関与する精神状態をテストステロン補充療法で改善すれば、自殺衝動を防ぐ可能性がある、という論説です。ただし、テストステロンの補充による攻撃性の増加が、自殺行動自体の強化につながる懸念もあり、今後の検討が待たれます。(松)

    テストステロンが生理的な正常範囲から逸脱し、「低過ぎ」あるいは「高過ぎ」いずれの状態にあっても攻撃性が問題になるのではないでしょうか?
    そうであれば、テストステロンの過剰投与は人為的にコントロールできますが、ストレスやLOH症候群で低テストステロン状態にある場合や、大うつ病にある場合も、先ずは低過ぎるテストステロンの血中濃度が生理的な範囲となるように低用量のテストステロン補充をすることで、自殺行動の防止につながることが期待できると考えております。(福)

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  • 抑うつ患者のテスステロン補充療法に関するメタ解析

    2009年07月30日


    ■ 目的
    多くの研究が抑うつ患者におけるテストステロン補充療法(TRT)の抗うつ効果を示唆している。 論文のシステマティック・レビューおよびメタ解析により抑うつに対するTRTの効果を探索した。

    ■ 方法
    MEDLINE, Clinical Trials Registry, および Cochrane Central (英語版)にて抑うつ患者の無作為、プラセボ比較試験の調査を行った。 調査において見出された総説の個々の論文リストより付加的調査を行った。
    DSMの基準に従って抑うつ異常と診断された患者におけるTRTおよびプラセボの比較試験のオリジナルなデータが報告されていればこのレビューおよびメタ解析の選択されるものと判断した。 治療に対する反応は抑うつに対するハミルトン評価スケール(HAM-D)の変化にしたげって評価した。
    同定された研究のソースから総および各群の患者数、年齢、性腺機能低下症あるいはHIV/AIDSと診断された患者数、研究期間、介入のタイプ、およびHAM-Dスコアの変化に関するデータを抽出した。
    メタ解析は用いたプラセボ比較のRCTにおけるHAM-Dスコアの変化によって測定された抑うつ患者に対するTRTの効果を評価した。

    ■ 結果
    7つの試験(N=364) が二重盲検によるプラセボ比較試験であった。 選択基準は全ての試験で明確にされている。

    プラセボに比した場合、これら7つの試験から抽出したデータのメタ解析は抑うつ患者のHAM-D反応に対するTRTの有意な正の効果を示した(z=4.04, P<0.0001)。

    サブ群解析は性腺機能低下症(z=3.84, P=0.0001)およびHIV/AIDS(z=3.33, P=0.0009)のサブ集団においても有意な効果を示した。

    ■ 結論
    TRTは抑うつ患者において抗うつ効果を示すと思われる。 特に高齢の性腺機能低下あるいはHIV/AIDS患者において有効である。 TRTの投与経路は治療に対する反応において重要である。

    ■ 原著
    J Psychiatr Pract. 2009 Jul;15(4):289-305.
    Testosterone and depression: systematic review and meta-analysis.
    Zarrouf FA, Artz S, Griffith J, Sirbu C, Kommor M.

     

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  • アンドロテスト: 性機能障害をともなう男性における性腺機能低下症の問診票の検討

    2009年04月16日


    【目的】
    性機能障害患者における低テストステロン症(総テストステロン< 300 ng/dL)として定義される性腺機能低下症の検出に有用なスコア化された簡便で体系的な質問表の作成を行った。

    【方法】
    最低限の項目が多項目の体系的質問表から、215例のサンプル集団における、性腺機能低下症に対する感度と特異性のROC分析により確認された。

    【測定項目】
    感度と特異性は664例の患者で検証された。PSA、睾丸容積、およびその他の臨床的および心理的パラメーターとテスト・スコアの相関性が妥当性の指標として検討された。

    【結果】

    • 最終的な12項目版( ANDROTEST)のROC分析Figure1.jpg
      閾値をスコア8とした時、低TT(<10.4 nmol/L)に対して感度は76%、特異性は66%、低FT (<37 pmol/L)に対しては感度71%、特異度65%であった。
    • アンドロテストスコアとテスステロン値の関係
      スコアと総および遊離テスステロン値との間に有意な相関が認められた。 (a)総テストステロン r=-0.336, p<0.0001 (b)遊離テストステロン r=-0.402, p<0.0001
      b.jpg
    • 病的な患者(例、スコア>8)は性腺機能低下関連徴候(低睾丸容積、高いうつ症状)の頻度が高かった。
    • 病的なスコア>8とは性腺機能低下関連徴候の関係
      スコア>8では低睾丸容積、高いうつ症状の頻度が高かった。

     

     


    アンドロテスト (ANDROTEST) とは

    性腺機能低下症(性機能障害患者で総テストステロン 300ng/dL以下)のスクリーニングのための質問表。3カ月に1回以上の性交のある患者に適用できる。
    質問表は12項目からなる。質問者は正確な言葉を用い、太字で書かれた質問表で尋ねるべきである。もし必要ならば、患者の回答をはっきりさせるため、通常の字体で書かれた質問表を使用する。患者は各項目ごとに彼自身が用いる言葉で自由に回答できるようにする。
    各項目ごとに、詳細な説明に続き、患者の回答を質問者が0-3のスケールでコード化する。項目のいくつかはイエス/ノーの形式である。
    質問の順序の変更は患者の回答を変化させる可能性があり、示された質問の順序は守らなければならない。

     

     

    • ①年齢

    「何歳ですか?」と尋ねた後、訪問時の患者の年齢を累進スコアでランクする。

    1. 0点: 40歳未満   1点: 40-49歳   2点: 50-59歳   3点: 60歳以上

     

    • ②性的成熟(思春期)に達したのはいつか?
      何歳であなたは性的成熟に達しましたか?

    スクールメイトと同じ時期に思春期を経験しましたか?
    スクールメイトと同じように陰毛や性器の成熟に気付きましたか?

     

    1. スクールメイトと同時期、あるいはそれ以前に性的成熟があれば、ランク0で、
      思春期が遅れていれば、同3となる。
    2. 0点: 9-14歳(正常)   3点: 14歳以降(遅延)

     

    • ③下垂体疾患の病歴があるか?
      下垂体疾患の手術を受けた事がありますか?
      下垂体疾患の薬物療法を行った事がありますか?
    1. 下垂体疾患の病歴がなければ0、
    2. 病歴があれば30点

     

    • ④睾丸停留テストの診断の有無
      睾丸停留の手術を受けた事がありますか?
      睾丸停留の薬物療法を行った事がありますか?
    1. 睾丸停留(片側でも)の病歴がなければスコアは0、病歴があれば3。
    2. 0点: いいえ   3点: はい

     

     

    • ⑤性交中の出来事について
      過去3カ月間の問題点について。勃起しなかった事はどの位の頻度ですか?

    (時々は25%未満、かなり頻繁には25-49%、度々は50-74%、何時もは75%以上。)

    1. 0点: ときどき  1点: かなり頻繁に  2点: たびたび  3点: いつも

     

    1. ⑥勃起で目覚めた事はあるか?
      過去3カ月間にどれくらいの頻度でありますか?以前と同様の頻度で自発的夜間/早朝勃起があればランク0、
      夜間/早朝勃起はあるが以前に比べると、過去3カ月はいくらか少ない場合は1、
      少なくとも50%は少ない場合は2、
      夜間/早朝勃起がない場合は3。0点: はい、規則的にある。
      1点: 過去に比べると少ない。
      2点: 時々あるだけ。
      3点: ない。

     

    1. ⑦過去3カ月間の自慰(マスターベーション)の頻度は?
    2. 0点: 8回/月以上  1点: 3-7回/月  2点: 1-2回/月  3点: なし
    3. 「なし」と回答した場合に質問8.は適用せず、質問8.に対するランクを1として、質問9.へ続く。

     

    1. ⑧自慰中、どのように感じるか?
      上記の質問の後、以下のスコアでランクする。0点: 良い感じ(well)。
      1点: 少し罪悪感を感じる。
      2点: 大きな罪悪感を感じる。
      3点: 非常に大きな罪悪感を感じる。

     

    1. ⑨過去3カ月間、セックスに対する欲求が大きくなったか、小さくなったか?
      過去に比して欲求が増加したか、減少したか?
    2. 欲求が変わらなかったか増加した場合はランク0、
    3. 減少した場合は1。0点欲求が不変または増加した。  
    4. 1点: 欲求が減少した。

     

    1. ⑩射精量の減少に気づいたか?
      射精量の変化に気付かなかった場合はランク0、
      僅かに減少したと感じた場合は1、
      著明に減少した場合は2、
      射精が起きなかった場合は3。
    2. 0点: 不変  1点: わずかに減少した  
    3. 2点: 著明に減少した  3点: 射精が生じない

     

    1. ⑪●過去3カ月間において、性交中に射精あるいはクライマックスに達するのが困難であったか?
      射精に困難さがなかった、あるいはまれなケースとしてパートナーなしで自慰によってのみ射精およびクライマックスが得られる場合は0、
      射精あるいはクライマックスは可能であるが、大きな努力および長時間の性交が必要、あるいは性交中ではなくパートナーの存在下で自慰によってのみ可能な場合は1。
    2. ●挿入あるいはパートナーの手あるいは口での刺激による性交中に射精することが出来ましたか?
    3. 0点: いいえ   1点: はい

     

    1. ⑫体重と身長は?
      体重と身長を質問後、次の計算式によってBMIを算出し、スコアをつける。BMI=体重[kg]/身長の二乗[m2]0点: 25 kg/㎡未満
      1点: 25-29.9 kg/㎡
      2点: 30-34.9 kg/㎡
      3点: 35 kg/㎡以上

     


    【原著】
    Corona G,etal:J Sex Med. 2006 Jul;3(4):706-15.
    Andrology Unit, Department of Clinical Physiopathology, University of Florence, Florence, Italy.
    ANDROTEST: a structured interview for the screening of hypogonadism in patients with sexual dysfunction.

    【弊社コメント】
    性腺機能低下症であることを確認するためには、採血して血中のテストステロン(男性ホルモン)レベルを測定しなくてはなりませんが、採血検査の要否を問診であらかじめ判断するのに有用と思われます。


    尿器科の専門医であれば、テストステロン値の採血検査をためらう事はないと思われますが、むしろ専門医でない医師が患者様の主訴から性腺機能低下症を疑う
    場合や、自分自身の症状から性腺機能低下症を心配している患者様が自己判断する目安として、この問診票が利用できるかも知れません。(福)

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  • 早漏に対するSSRI使用への警鐘

    2009年03月10日


    2009年2月21日に第19回・日本性機能学会東部総会が長野市で開催され、総合せき損センター・泌尿器科の木元康介先生から表題の発表がありました。
    近年のSSRI服用にともなう様々な有害事象(重大事件に至るほどの攻撃性・自殺念慮・精子に与える影響)の指摘をはじめ、早漏の治療に対するSSRI(選択的セロトニン再吸収阻害剤)の使用が適応外であることも踏まえると、これらのリスクに対応するためには、処方に至るプロセス(患者とパートナーに対する説明と了解)や、処方後の注意深い問診など、極めて慎重な対応が必要である、という趣旨でした。

    Antidepressant-associated changes in semen parameters.
    Tanrikut C, Schlegel PN.

    James Buchanan Brady Foundation, Department of Urology, New York-Presbyterian Hospital/Weill Medical College of Cornell University, New York, New York 10021, USA.

    We describe 2 cases of patients referred for evaluation of male infertility who had antidepressant medication-associated changes in sperm motility and/or concentration. The physical examination and endocrinologic study findings were unremarkable in each case. Analysis of the initial semen specimens revealed oligospermia, impaired motility, and abnormal morphology in each patient while they were taking serotonin reuptake inhibitors. Repeat semen analyses performed 1 to 2 months after discontinuation of the antidepressants demonstrated marked improvements in sperm concentration and motility. Additional assessment of the potential impact of antidepressant medications on male fertility is warranted.
    PMID: 17270655 [PubMed – indexed for MEDLINE]


    Antidepressants and Violence: Problems at the Interface of Medicine and Law

    David Healy, Andrew Herxheimer, and David B Menkes
    PLoS Med. 2006 September; 3(9): e372. Published online 2006 September 12. doi: 10.1371/journal.pmed.0030372.
    PMCID: PMC1564177
    PDF形式はこちら

    「うつ病」内科で薬処方 使い方誤り攻撃性増す?
    2009年3月14日 20時51分   ( 2009年3月14日 20時51分更新 )

    副作用が少ないと人気の抗うつ薬SSRIを服用し、暴力などの攻撃性が高まった疑いもある症例が4年半で42件報告されていたことが分かった。厚労省では、初期症状の患者らが精神科を敬遠して内科にかかり、使い方を誤って逆に副作用が強く出た可能性もあるとみている。うつ病患者が社会から誤解を持たれないためにも、抜本的な対策が求められそうだ。

    副作用少ないSSRI、「攻撃性」疑い42件も
       うつ病の初期のころは、精神科へ行くのに抵抗がある人は多い。自覚症状がなく、動悸がするなどの体の異常を訴える場合もある。そして、まず内科にかかることになる。
    そこでは、パキシルなどの「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」が使われることが多い。効果的な抗うつ薬として一般的な「三環系」と違って副作用がきつくなく、仕事や家事をしてもらいながら治療できるため、使いやすいからだ。
    ところが、そのSSRIにも、攻撃性を増したりするような副作用が出る可能性があることが分かった。SSRIは、日本では、シェア5割のパキシルのほか、ルボックス、デプロメール、ジェイゾロフトの計4製品がある。それらの製造販売元の各製薬会社は、医師からの副作用報告を医薬品医療機器総合機構に上げており、それが2008年秋までの4年半に、前述のような副作用も疑われる症例が42件もあったというのだ。
    これは、業界紙の医薬経済社が08年9月に同機構に情報公開請求した結果、同12月に公開され、09年3月に入って同紙がその内容を報じたものだ。
    それによると、人を実際に傷つけ刑事事件にもなったケースが6件あり、うち1件は妻を殺害したものだった。殺害したのは、認知症にもかかっていた70歳代の男性で、パキシル服用後のことだった。ほかに、妻の頭を金属類で殴って重傷を負わせた45歳の男性もいた。
    傷つけるまではいかなくても、その恐れがあったのが13件。「このままでは人を殺してしまう。刑務所に入れてくれ」と望んだ男子高校生やバイクを蹴ったりする人もいた。残る23件は、興奮してイライラするなどしたケースだった。

    気分が上がってくるときの服用は危険
       SSRIは、1999年に日本で承認され、パキシルは2000年から発売された。今では、100万人以上が使うほどSSRIがポピュラーになったが、副作用が少ないというのは間違っていたのか。
    この疑問に対し、厚労省医薬食品局の安全対策課長は、こう説明する。
    「うつ病の方は、いつも沈んでいるわけではなく、波があって、気分が上がってくるときがあります。そのような状態でSSRIを服用すると、気分を増幅させる危険があるのです。そして、半端ではない興奮状態になったり、怒りっぽくなったり、ときには人を傷つけたりするかもしれません。また、自殺リスクが上がることもありえます」
    つまり、精神状態を見て使わないと、意外な副作用が出てくるということだ。
    古典的な三環系は、使い方が難しいので、扱いに慣れている精神科の専門医が処方する場合がほとんど。ところが、SSRIは、副作用がきつくないので、内科医でも処方され、十分な注意喚起がないまま、気分が上がってくるときに使われている恐れがあるというのだ。
    ただ、うつ病患者は、薬を服用しなくても、気分が上向いているときなどに攻撃的になることがあるとされる。服用しなければ、自殺の危険も強い。従って、他害行為や自殺を防ぐためにも、投薬治療は必要だ。大切なのは、SSRIは、前述のように使い方を誤ると、副作用として「攻撃的反応」を増幅させると注意喚起することのようだ。

    厚労省は、どのように対応するのか。

    これに対し、前出の安全対策課長は、こう説明する。
    「確かに、怖くなって薬を飲むのを止めたり、うつ病患者は危ないと思う人が出たりすると、害が大きいと思います。本来なら、精神科の専門医によく聞くのが大切でしょう。しかし、抵抗がある人もいて、呼びかけだけでは難しいと思っています。そこで、内科医などにも人を傷つけるような副作用の可能性があることを注意喚起してもらうよう、何らかの対策を検討しています」

    抗うつ薬で暴力など42件  厚労省が因果関係調査
    2009/03/07 12:31   【共同通信】

    抗うつ薬の「パキシル」など4種類のSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を服用した患者に、他人に暴力をふるうなど攻撃性が高まる症状が表れたとの報告が2004年から昨年秋までに計42件、医薬品医療機器総合機構に寄せられ、厚生労働省は7日までに、因果関係の調査を始めた。
    メーカー側に見解を求めるとともに近く専門家の意見も聞き、攻撃性についての注意書きを盛り込む方向で、添付文書の改訂を指示することを検討する。
    厚労省によると、報告があったのはパキシル、ルボックス、デプロメール、ジェイゾロフトの4社4製品。42件のうち「人を殺したくなった」など他人を傷つける恐れのある言動をしたり、実際に暴力をふるったりした症例が19件。残る23件も、興奮して落ち着きがなくなるなどの症状が表れたという。
    因果関係は不明だが、うつ病を併発した認知症の70代の男性がパキシル服用後に妻を殺害するなど、刑事事件に発展したケースもあった。
    SSRIは、脳内の神経伝達物質セロトニンの濃度を調節して神経の活動を高める薬。三環系と呼ばれる従来の抗うつ薬よりも副作用が少なく、うつ病治療に広く使われており、国内でも推定で100万人以上が使用しているとみられる。
    厚労省は「うつ病以外の患者にも使われていなかったかなど慎重に調べたい」としている。

    「抗うつ薬で攻撃性」副作用の疑い42件 厚労省調査
    2009年3月7日6時16分 【asahi.com】

    銃乱射で客ら8人死亡  米中西部の商業モール
    2007/12/06 01:45   【共同通信】

    【ロサンゼルス5日共同】米中西部ネブラスカ州オマハのショッピングモールで5日午後2時(日本時間6日午前5時)ごろ、若い男がライフル銃を乱射した。地元警察当局によると、クリスマスの買い物などに来ていた客ら8人が死亡、重体2人を含む計5人が負傷した。犯人の男は自殺した。 米国では4月のバージニア工科大事件をはじめ銃乱射事件が続発、一般市民が犠牲になる惨事が繰り返されている。 地元テレビによると、犯人は近くに住む20歳で、自宅に今回の犯行をほのめかすメモが残っていた。11月にアルコール所持容疑などで逮捕され、今月19日に裁判所に出廷する予定だったという。 知人とみられる地元女性は地元テレビに、男が最近職場を解雇され、銃を持っているのも見たと語った。別の友人男性は男が抗うつ剤を服用していたと話した。警察当局は詳しい動機を調べている。

    全抗うつ剤にリスク記載へ  若者の自殺企図で厚労省
    2007/11/06 21:11   【共同通信】

    厚生労働省は7日までに、国内で販売されているすべての抗うつ剤に、「24歳以下の患者で自殺を企てるなどのリスクが増加するとの報告がある」との内容を使用上の注意として記載するよう、製薬会社に添付文書の改訂を指示した。 米食品医薬品局(FDA)が今年5月、米国内で同様の改訂を指示したのを受けた措置。 ただ抗うつ薬によるメリットも大きく、今回の改訂では、プラス面とマイナス面を考慮した上で投与するよう記載する。 対象となるのは、新しい世代の抗うつ剤であるSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)やSNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)のほか、古くから使用されている「三環系」「四環系」と呼ばれる種類も含むすべての抗うつ剤。

    大人でも自殺衝動を増加か  抗うつ剤、米当局が警告
    2005/07/02 01:36   【共同通信】

    【ワシントン1日共同】米食品医薬品局(FDA)は1日、抗うつ剤が大人の自殺衝動を強める可能性が最近の複数の研究で指摘されたとして、服用する際は症状の悪化や自殺傾向などを慎重に監視するよう求める警告を発表した。  一部の抗うつ剤が子供の自殺傾向を強める恐れは既に明らかになっており、FDAは昨年、薬の添付文書に強い警告を表示するよう指示した。  FDAは今後約1年かけ、米国で広く処方されている抗うつ剤について大人の患者に自殺を誘発する恐れの有無を評価し、製品への警告表示などを検討する。  今回の警告は、その結論が出るまでの当面の措置。特に抗うつ剤を初めて服用する際や、有効成分の量が変わった時の体調、精神状態の変化に注意し、自殺を考える回数が増えたなどの変化があれば医師の診察を受けるよう求めた。

    機長刺殺の男に無期懲役  全日空機ハイジャック事件
    2005/03/23 03:11   【共同通信】

    1999年、全日空機を乗っ取り機長を刺殺したとして、殺人とハイジャック防止法違反(ハイジャック致死)などの罪に問われた無職西沢裕司被告(34)に、東京地裁は23日、求刑通り無期懲役の判決を言い渡した。  判決理由で安井久治裁判長は「わが国犯罪史上類を見ない危険かつ悪質なハイジャック事案で、航空機の安全な航行に対する社会的信頼を損なった」と厳しく指摘した。  ハイジャック致死罪が初めて適用された事件。動機と責任能力が争点となったが、安井裁判長は「抗うつ剤などの影響により、犯行当時、そう状態とうつ状態の混合状態で、心神耗弱の状態にあった」と認定した。  公判中、2回行われた精神鑑定のうち1回は「心神耗弱状態だった」と結論付けていた。

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  • グローミンの臨床研究が稲田賞を受賞

    2008年07月14日


    弊社のテストステロン軟膏「グローミン」は、2003年10月から聖マリアンナ医大・泌尿器科の岩本晃明教授(当時)の研究チームで臨床研究が始められ、既にいくつかの学会で発表と論文掲載がされて来ました。

    グローミンの弊社HP

    グローミンに関する、これまでの学術発表

    このほど、泌尿器科紀要誌に投稿・掲載された、グローミンの臨床研究に関する論文に対して、代表執筆者の長野赤十字病院・第二泌尿器科部長・天野俊康先生が、泌尿器科紀要誌の稲田賞を受賞される事になりました。7月26日・17時より京都(芝蘭会館別館)で授賞式と講演会がある予定です。

    また、インパクトファクター4.7を誇る、J Sex Med. 2007 Dec 18 に掲載された論文は、Pub Medで参照できます。

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  • 高齢男性における性ホルモン濃度と健康および生活満足との関連

    2008年01月21日


    【目的】
    高齢男性において、性ホルモン濃度と自己評価健康度および生活満足度、神経精神症状あるいはうつ症状あるいは痴呆との関連を解析した。

    【方法】
    対象は地域住民調査Lieto Studyに登録している517例の男性。性ホルモン製剤の使用あるいは前立腺癌、前立腺肥大症の治療中、あるいはBMIの測定がない男性は除外した。
    その結果466例、年齢64~97歳、平均72歳、平均BMI26.9 kg/m(2)が解析対象となった。

    【結果】
    ・ 年齢調整後、高レベルのテストステロンあるいは遊離テストステロンは良好な自己評価健康度と関連していた。
    ・ 年齢およびBMIで調整後、性ホルモンレベルと自己評価健康度あるいは生活満足度あるいは、殆どの神経精神症状との間に統計学的に有意な関連は認められなかった。
    ・ 診断上のうつ症状は低テストステロンと関連していた。
    ・ 高レベルのLHおよびFSHは診断上の痴呆と関連が見られた。

    【結論】
    この地域住民調査において、低テストステロンと診断上のうつ症状に関連が見られた。無症候性の性腺機能低下症は痴呆と関連していると思われる。

    【原著】
    Associations of sex hormone concentrations with health and life satisfaction in elderly men.
    Eskelinen SI, Endocr Pract. 2007 Nov-Dec;13(7):743-9.
    Department of Family Medicine, University of Turku, Turku, Finland.

     

    【弊社コメント】
    テストステロンとうつ症状との関連は明らかなようですが、BMIを調整に加えると、一般的な健康度、生活満足度との関連に有意性がなくなります。(野)

    テストステロンは、決して高齢男性の健康の全てを司るものではありません。肥満度の要素が加わると、たとえテストステロンのレベルを若い頃のように高く維持できても、健康度や生活満足度が必ずしも高いとは限らないわけです。

    すなわち、健康的なライフスタイル(適度な運動・バランスの良い節度ある食生活・規則正しく健康的な生活リズム・ストレスの少ない健康的な生活環境・前向きで健全な精神状態、等々)を若い頃からずっと実践し、肥満もコントロール出来た人こそ、最良のホルモン補充(ホルモンレベルの維持)をしている、最高のアンチエイジング法の実践者なのでしょう。(福)

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