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テストステロン欠乏、海綿体の線維化および勃起不全の関係

2012年11月30日


【 目的 】
年齢、テストステロン欠乏、海綿体の線維化および勃起不全(ED)の間の相関性を検討した。

【 方法 】
対象は2010年9月~2011年10月に登録したED患者47例。IIEF-EFスコア、NPTRテスト(リジスキャンによる夜間睡眠時陰茎勃起硬度測定)、総および遊離テストステロン(TTおよびFT)、および海綿体生検を全例に行った。65歳以上を高齢者(OA)、65歳未満を若年者(YA)とそた。関係性の強度はオッズ比にて求めた。

【 結果 】

  • 陰茎海綿体に52%以上のコラーゲン線維化がある患者の74%は器質性のEDであった。
  • リジスキャン陽性(PR)と陰性(NR)の患者間で年齢、コラーゲン線維化%およびテストステロン・レベルに有意な差異が認められた。
  • 低テストステロンはPRを伴うEDリスクを上昇し(OR: 21.4, 95% CI: 20.2-22.6)。 これは若年者 (OR: 4.3, 95% CI: 2.4-6.2) および高齢者 (OR: 15.5, 95% CI: 13.4-17.6)の両者で認められた。
  • 海綿体の線維化はPRを伴うEDリスクを若年者(OR: 8.2, 95% CI: 6.4-10.0 )および高齢者(OR: 24.6, 95% CI: 20.8-28.4)で上昇した。

【 結論 】
年齢、テストステロン欠乏および海綿体線維化とPRを伴うEDの間に強い関連性が認められた。 年齢、テストステロン欠乏および海綿体線維化は器質性EDおよび海綿体線維化の修正因子と考えられる。 テストステロン補充あるいはPDE5阻害剤が海綿体線維化リスクを下げるかあるいはED患者の線維化強度を下げるか検討が必要である。

【 原著 】
BMC Surg. 2012 Nov 15;12 Suppl 1:S24. Epub 2012 Nov 15.
Testosterone deficiency causes penile fibrosis and organic erectile dysfunction in aging men. Evaluating association among Age, TDS and ED.
Iacono F, Prezioso D, Ruffo A, Illiano E, Romis L, Di Lauro G, Romeo G, Amato B.
Department of Urology, University “Federico II” of Naples, Naples, Italy.







【 弊社コメント 】
抄録の範囲ではリジスキャン陽性(PR)と陰性(NR)の基準が不明です。 PRはおそらく夜間勃起減少がない、あるいは低下している患者の事と思われます。(野)

「テストステロンの欠乏」→「夜間勃起・早朝勃起(朝だち)の頻度減少や消失」→「陰茎海綿体の繊維化」→「器質性ED(勃起不全)の重症化・慢性化」・・・という悪循環の構図が見えます。

朝だちの頻度減少や消失に自覚があれば、初期のEDかも知れません。 その頃から生活習慣の見直しによるテストステロン分泌の自律回復を目指し、必要に応じて少量ずつテストステロンを補充することにより、EDの重症化や慢性化を防ぎ、ひいては生活習慣病の重症化や悪循環を予防できると考えています。(福)

【 用語参考 】
penile tumescence (NPT) with rigidity.
夜間睡眠時陰茎勃起現象nocturnalpeniletumescence(NPT)は、ほとんどの健康男子に認められる生理的現象。 NPTの指標を測定することで性機能の評価を行うようになってきた。

NPTが注目された初期の頃、勃起の評価は陰茎の周囲長の増大でなされていたが、最近リジスキャン(RigiscanTM,DacoMedCo.,USA)が臨床応用され、陰茎の硬度も加えて測定でき、より精密な勃起機能の評価が行えれるようになってきた。
リジスキャン
陰茎周長と硬度の変化を連続的に記録する事が可能で、勃起の有無・回数だけでなく、勃起の程度や勃起の持続時間も計測可能な診断装置。
測定用に2つのループをもち、冠状溝ならびに陰茎基部のサイズの変化を測定する事が可能。
就寝時のレム期に同調して発生する勃起状態である夜間勃起の有無を検査するに当たり、最も信頼性が高いとされる検査方法であり、 性的な視覚的刺激・聴覚的刺激による勃起能検査にも用いることが可能である。
勃起能が正常の男性では8時間の睡眠中に10~15分継続する勃起状態が3~6回起こるとされており、 それらは陰茎基部で3cm、冠状溝部で2cm以上の周囲長の増加と70%以上の硬度の増加を伴うとされている。
リジスキャンの診断としては通常、金子の分類が使用される。
正常、硬度不均一、硬度腫脹不一致、(硬度持続)短時間、低硬度、平低の6型に分類される。 頻度、硬度、周径変化、持続時間がすべて正常なものが正常型(normal)で、それ以外はこれら4項目のうち1つでも異常があれば器質性EDと診断される。

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