-
性機能障害に対するヨヒンビンを含む補完代替医療(CAM)の有効性に関するレビュー
【 目的・方法 】
性機能障害(SD)あるいは勃起不全(ED)の高齢男性はしばしば補完代替医療(CAM)を用いる。このレビューはCAMの有効性に対するエビデンスの評価を厳密に行った。
全ての関連性のあるシステマティック・レビュー(SR)を見出すため6つの電子データベースを調査した。方法論的質はOxman scoreを用いて独立した2人のレビュアーにより評価した。【 結 果 】
- 4つのSRが基準に合致していた。鍼治療、チョウセン人参、マカおよびヨヒンビンである。
- 全SRの方法論的質は “good” である。しかし、ベースの研究はバイアスのリスクが無視できない程度にある。
- 結論としてEDの治療オプションにヨヒンビンおよび朝鮮人参が取り上げられている。
- 鍼治療およびマカはEDおよびSDに対するエビデンスが不十分である。
【 結 論 】
若干の強いエビデンスはあるがSDおよびEDに対するCAMの価値を確立するため、多くの質の高い研究が必要である。【 原 著 】
Maturitas. 2011 Sep;70(1):37-41. Epub 2011 Jul 22.
Complementary and alternative medicine (CAM) for sexual dysfunction and erectile dysfunction in older men and women: an overview of systematic reviews.
Ernst E, Posadzki P, Lee MS.
Complementary Medicine, Peninsula Medical School, University of Exeter, Exeter, UK【 弊社コメント 】
著者のErnst Eは、ヨヒンビンのシステマティック・レビューを行った人です。原著での確認が必要ですが、ヨヒンビンに関して新たなデータはないと思われます。 ヨヒンビンの位置づけが補完代替医療(CAM)になっています。(野)補完代替医療の社会的背景は、公的医療費の削減にあると思いますが、欧米でヨヒンビンが根拠のある補完代替医療の選択肢として認められることは、本邦におけるヨヒンビン製剤がOTC(市販薬)としてED治療の選択肢である現状を支持すると考えます。(福)
続きを読む
-
ヨヒンビンは2型糖尿病モデルGKラットの膵島血流量を正常化する
【 目的・方法 】
α2Aアドレノ受容体の過剰発現がGKラットの2型糖尿病の原因となっている。 α2受容体の阻害がランゲルハンス島の血流量に影響するか否かを検討した。
麻酔GKおよびウィスターF(WF)ラットにα2Aアドレノ受容体拮抗剤ヨヒンビンを 2.5mg/kg 静脈内に投与し、膵島血流量および血糖レベルを測定した。【 結 果 】
- GKラットはWFラットより血糖値およびインスリン濃度が高かった。 ヨヒンビンはWFラットにおいてはこれらに影響しなかったが、GKラットにおいては血糖値を下げインスリン濃度を上昇した。
- 全膵臓および膵島血流量はGKラットにおいてWFラットに比して上昇していた。 ヨヒンビンはWFラットの血流量には影響しなかったが、GKラットの膵島血流量をWFラットのレベルに減少した。
【 結 論 】
α2アドレノ受容体の過剰発現がGKラットの血流量上昇の原因となっている可能性がある。 薬理学的に治療の標的となりうる。【 原 著 】
Horm Metab Res. 2012 Sep 26.
The α2-Adrenoceptor Antagonist Yohimbine Normalizes Increased Islet Blood Flow in GK Rats: A Model of Type 2 Diabetes.
Sandberg M, Pettersson U, Henriksnas J, Jansson L.
Department of Medical cell Biology, Uppsala University, Uppsala, Sweden.【 弊社コメント 】
ヨヒンビンに新たな可能性があるかもしれません。(野)GKラットは2型糖尿病モデルのラットですが、2型糖尿病の原因と言われるα2受容体の異常発現を、α2ブロッカーであるヨヒンビンで阻害することにより、2型糖尿病であるGKラットの血糖値を下げたとのことです。 2型糖尿病に合併したEDの男性には、ヨヒンビン製剤に血糖値低下の副効用があるかも知れません。
ただし、本報の「2.5mg/kg 静脈内に投与」というのは、体重60kgの人であれば、実にヨヒンビン 150mg(弊社製品「ガラナポーン」30錠分相当)を血中に直接投与するわけで、人であれば極めて危険ですし、そもそもヨヒンビンは2相性の作用があり、低用量と高用量では作用が異なるという指摘もありますので、検証・確認すべき課題は多々あります。(福)続きを読む