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低テストステロンは前立腺癌に局在するグリソンパターン4の高頻度と関連している

2011年09月07日


【 目 的 】
術前のテストステロン値とグリソンスコアおよび優勢型による前立腺癌の悪性度との関連性を検討した。

【 方 法 】
2007年1月から2011年1月の間に前立腺切除のため受診した患者の、術前の血清総テストステロンを測定した。グリソンスコアおよびグリソンパターンを前立腺生検および前立腺組織標本にて判定した。試験はプロスペクティブに行い、登録症例数は431例である。

【 結 果 】

  • 生検において、グリソンパターン4は72例(17%)に認められた。
  • 前立腺標本において、グリソンパターン4は132例(31%)に認められた。
  • グリソンパターン4の132例の総テストステロンはグリソンパターン3の299例より有意に低かった(4.00
    vs 4.50 ng/ml, p = 0.001)。
    また、PSAは高く (8.4 vs 6.6 ng/ml, p <0.00001),
    前立腺外への伸張およびポジティブな範囲が目立った(49% vs 20% and 23% vs 14%, p<0.000001 and
    0.02, respectively)。
  • 総テストステロンが3.0 ng/ml以下の62例は高いBMI (mean 0.5 kg/m(2), p<0.000001)を伴い、より大きかった(mean 7 kg, p = 0.0001)。
    これらの群ではグリソンパターン4の比率が高かった(47% vs
    28%, p =
    0.002)。

【 結 論 】
低テストステロンは進行型前立腺癌を示すグリソンパターン4の高比率と関連していた。腫瘍の進行度は生検では正確に推定できない。術前のテストステロン値は前立腺癌の管理の改善のためPSA測定に加えられるべきである。

【 原 著 】
J Urol. 2011 Aug 17.
High Incidence of Predominant
Gleason Pattern 4 Localized Prostate Cancer is Associated With Low Serum
Testosterone.

Botto H, Neuzillet Y, Lebret T, Camparo P, Molinie V, Raynaud
JP.
Department of Urology, Foch Hospital, Suresnes, France.

【 弊社注釈 】 グリソン・パターンの定義

前立腺癌の形態は「グリソンパターン (グリソン分類)」として次の5つに分類されており、また悪性度(俗に言う「癌細胞の顔つき」)は、国際的にグリソンスコアで表現されています。

Gleason
pattern 1

均一で独立した中型腺管が密在し、明瞭な結節を作る。

Gleason pattern 2

上記と同様の結節が認められるが、部分的な最小限の浸潤傾向、やや低い腺管密在性、軽度の大小不同が見られる。

Gleason pattern 3

明瞭な管腔を有する独立腺管よりなる。pattern
1,2と異なり既存の非腫瘍性腺管の間に浸潤する。腺管は概して小型であるが中型~大型のこともありうる。篩状腺管は小型で境界が完全に平滑なものが含まれるが、ごく稀である。

Gleason
pattern 4

癒合腺管、篩状腺管、hypernehromatoid、不明瞭な腺管形成を示すもの

Gleason pattern 5

充実性、索状、孤在性、面疱状壊死

【 弊社コメント 】
進行度の高い前立腺癌の人は、テストステロン値が有意に低いとのことですが、前立腺癌の進行がテストステロンを低くするのか、それともテストステロン分泌の低い状態が前立腺癌の進行度を高めてしまうのでしょうか?興味は尽きません。(福)

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