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2011年8月アーカイブ

【 目 的 】
 酸化ストレスが心臓疾患の病態に有意な影響を及ぼすことは、これまでの研究で明らかである。一方、アンドロゲン(男性ホルモン)が心機能、心筋傷害および心臓の酸化還元状態の調整に生理学的役割を果たしている事から哺乳類の心筋にはアンドロゲン受容体(AR)が存在すると考えられる。本研究は心筋細胞の酸化ストレスに及ぼすテストステロン欠乏、生理学的レベルのテストステロン療法およびARの影響を睾丸女性化(Tfm)および去勢マウスにて検討した。

【 方 法 】
 Tfmマウスは非機能的ARを有し血清テストステロンが低下していた。雄性同腹子およびTfmマウスを5群に分けた。即ち、コントロールとして非去勢同腹子、去勢同腹子、偽手術Tfm、テストステロン投与去勢同腹子、およびテストステロン投与偽手術Tfmである。
 左室より分離した心筋細胞を用い、superoxide dismutase (SOD), glutathione peroxidase (GSH-Px)酵素活性、およびmalondialdehyde (MDA) レベルを測定した。加えてミトコンドリアDNA (mtDNA)の欠失変異をnested PCR.により検出した。

【 結 果 】
  • 去勢および偽手術Tfm群ではコントロール群に比して心筋のSODおよびGSH-Px酵素活性が低下し、MDAレベルおよびmtDNA変異が増加していた。

  • テストステロン投与群ではSODおよびGSH-Px酵素活性が上昇し、MDAレベルおよびmtDNA変異が減少していた。

  • これらの変化はテストステロン投与の去勢および偽手術Tfm群で統計学的に同様であった。

【 結 論 】
 心筋の酸化ストレスを誘導するのはテストステロン欠乏である。生理学的レベルのテストステロン投与はアンドロゲン受容体を介して酸化ストレスを抑制する。

【 原 著 】
Mol Med Report. 2011 Jul 22. doi: 10.3892/mmr.2011.539.
Testosterone suppresses oxidative stress via androgen receptor-independent pathway in murine cardiomyocytes.
Zhang L, Wu S, Ruan Y, Hong L, Xing X, Lai W.
Department of Cardiology, Nanfang Hospital, Southern Medical University, Guangzhou, China.


【 弊社注釈 】

superoxide dismutase (SOD)
Superoxide(O2-)は、白血球の一つである顆粒球や単球が外来性の感染に対しての貪食作用や殺菌作用に不可欠なfree radicalの一つですが、一方では様々な生物反応や外的ストレスで過剰に産生されたsuperoxideはDNAに障害を与えるため、生体内では速やかに消去する機構が必要とされています。生体に備わった唯一のsuperoxideを消去する機構として考えられているのがSuperoxide dismutase (SOD)です。(野)

malondialdehyde (MDA)
MDAは脂質過酸化分解生成物の一つであり、脂質過酸化の主要なマーカーとしてよく用いられます。 (野)

【 背 景 】
エストロゲン補充のリスクに関する懸念は、大豆の有効性が証明されていないにもかかわらず、更年期のホルモン療法に代わるものとして、閉経後の女性に大豆製品の使用が大幅に増加していることである。
今回、イソフラボン錠剤を用いて骨量低下や更年期症状などの有効性の検討を行った。

【 方 法 】
研究は単一施設で、無作為化、2004年7月1日から2009年3月31日まで実施されたプラセボ対照、二重盲検比較試験。
閉経5年以内で腰椎や股関節の骨密度Tスコア-2.0以上の女性(45~60歳)を対象に、大豆イソフラボンの錠剤を 200mg/日、またはプラセボを投与した。
主なアウトカム(評価項目)は、2年後のフォローアップ時における腰椎、股関節、大腿骨頸部の骨密度変化であり、副次的なアウトカムは、更年期症状、膣細胞、Ⅰ型骨コラーゲンN-テロペプチド、脂質、および甲状腺機能の変化である。

【 結 果 】
2年後、投与者群(n=122)とプラセボ群(n=126)の間に、脊椎の骨密度(投与者:-2.0%、プラセボ:-2.3%)、股関節(投与者:-1.2%、プラセボ:-1.4%)、大腿骨頸部(投与者:-2.2%、プラセボ:-2.1%)と有意差は認められなかった。
イソフラボン投与者の大部分は、プラスミド群と比較して、ほてりや便秘を経験した。他の測定結果では両群間に有意差を認めなかった。

【 結 論 】
2年間・200mg/日の大豆イソフラボンを投与した女性において、骨量低下や更年期症状を予防できなかった。

【 付 記 】

骨密度 (bone mineral density: BMD)

単位体積あたりの骨量。骨に含まれるミネラル(無機物: カルシウムやマグネシウム)の密度。

Tスコア
若年齢の平均BMD値(基準値)を0、標準偏差を1SDとして、指標を規定した値。WHO(世界保健機関)が定めた骨粗鬆症診断基準に用いられる。

Ⅰ型骨コラーゲンN-テロペプチド
骨基質の主要構成蛋白であるⅠ型コラーゲンの分解産物。骨吸収が起こると、分解生成されるⅠ型コラーゲンのペプチド断片は、N-末端側由来の産物であるN-テロペプチドも含まれている。これが骨組織から血中に放出されるため、骨粗鬆症、原発性副甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍の骨転移など、骨吸収が亢進する疾患の経過観察に用いられる。

【 原 著 】
Archives of internal medicine. 2011 Aug 8;171(15):1363-9.
Soy Isoflavones in the Prevention of Menopausal Bone Loss and Menopausal Symptoms: A Randomized, Double-blind Trial.
Levis S, Strickman-Stein N

【 目的 】
 2D:4D比は胎生期テストステロン濃度を推定するものであり、アンドロゲン受容体(AR)の感受性と関連すると位置づけられている。胎生期テストステロンとARは陰茎の成長に中心的役割を果たしている。そこで、2D:4D比と陰茎長の関係を調査した。

【 方法 】
 対象は泌尿器科手術のために入院した20歳以上の男性144例である。陰茎長の測定の前に、右手の2D:4D 比を一人の研究者により測定した。麻酔下で弛緩した状態および伸展した
状態の陰茎長を別の研究者により測定した。この研究者は2D:4D比に関する情報を全く知らされていない。

【 結果 】
  • 直線回帰モデルを用いた単変量および多変量解析の結果、身長のみが弛緩した陰茎長(flaccid penile length)の有意な予測因子であった(単変量: r=0.185, P=0.026; 多変量: r=0.172, P=0.038)。

  • 2D:4D比は伸展した陰茎長(stretched penile length)に対してのみ有意な予測因子であった(単変量:r=-0.216, P=0.009; 多変量: r=-0.201, P=0.024; stretched penile length=-9.201×digit ratio + 20.577).

【 結論 】
 2D4D比により成人の陰茎長を予測できる。胎生期のテストステロンレベルは成人の陰茎長の差異を部分的に説明するものである。

【 原著 】
Asian J Androl. 2011 Jul 4. doi: 10.1038/aja.2011.75.
Second to fourth digit ratio: a predictor of adult penile length.
Choi IH, Kim KH, Jung H, Yoon SJ, Kim SW, Kim TB.
Department of Urology, Gachon University Gil Hospital, Incheon, Korea.


【 コメント 】
弛緩した陰茎長(flaccid penile length)および伸展した陰茎長(stretched penile
length)の訳につきましては、適切でないかも知れませんので、お含みおき下さい。

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