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エストロゲンの抗炎症作用は加齢によって低下する

2007年02月03日


【目的】
若い成熟雌においては、エストロゲン療法は脳血管の炎症反応を抑制する。これは炎症遺伝子の調節因子であるNF-kappaBに媒介されるものである。脳血管の炎症に対するエストロゲンの作用が年齢によって異なるか雌ラットにおいて検討した。

【方法】
3および12カ月齢の雌ラットを用い、卵巣摘出(OVX)後に半数に4週間のエストロゲン投与を行った(OE)。また、4および13カ月齢のラットから脳血管を摘出した。
炎症は lipopolysaccharide (LPS),により誘発し、in vivo では注射を行い、ex vivoで血管とインキュベートした。

【結果】
・細胞質のNF-kappaB の基礎値は若いラットの脳血管において有意に高かったが、細胞質に対する核の比は中年のラットにおいて高かった。
・LPSは脳血管の核のNF-kappaB DNA 結合活性、iNOSおよびCOX-2の蛋白レベル、NOおよびPGE2の産生を高めた。
・LPSの全ての反応は老齢動物の血管において著明に大きかった。
・エストロゲンは両方の年齢のラットの脳血管のLPSによるNF-kappaB DNA 結合活性の上昇を阻害した。
・4カ月齢のラットにおいて、エストロゲンはLPSによるiNOSおよびCOX-2の蛋白の誘導を抑制し、NOおよびPGE2の産生も同様に抑制した。
・反対に、13カ月齢のラットにおいて、エストロゲンはLPSによる炎症反応の抑制効果を示さなかった。

【結論】
脳血管に対するエストロゲンの防禦的抗炎症作用は若い動物では認められるが、高齢動物では減弱されるであろう。

【原著】
Age alters cerebrovascular inflammation and effects of estrogen.
Sunday LN, Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2007 Jan 5
Department of Pharmacology, University of California, Irvine, Irvine, California, United States.

【弊社コメント】
WHIの結果の評価の中で対象の年齢が高すぎたことが結果の一つの原因として上げられ、エストロゲンの効果が加齢によって変わってくる事が検証されています。このデータはその基礎的部分をなすものと考えられます。(野)

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