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更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。更年期や性機能についての学術情報、最新研究などを紹介いたします。

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  • テストステロンおよびナンドロロンの心機能に及ぼす影響

    2007年02月03日


    【目的】
    アンドロゲンは骨格筋に対して強い作用を有しているが、人の心筋に対する作用、あるいはテストステロンの代謝がどのような役割を果たしているかはよく分かっていない。
    健康若年男性において、テストステロンと代謝を受けない純粋なアンドロゲンであるナンドロロンの心筋機能に対する影響を検討した。

    【方法】
    デザイン:3群の二重盲検、無作為プラセボー比較試験。
    セッティング:Ambulatory care research centre.
    被験者:各群10名の健康若年男性を無作為に割り付けた。
    インターベンション;テストステロンエステル200mg、ナンドロロン・デカノエイト200mg、またはプラセボー製剤を1週間に1回筋肉内投与した。
    測定項目:心筋組織の運動速度、最大収縮張力および速度、心拍出のバイオインピーダンスおよび全身血管抵抗を含む心筋機能を総合的に評価した。

    【結果】
    ・左室機能(左室の駆出率、TEI係数)、右室機能(駆出エリア、三尖弁の平面運動、TEI係数)、心後負荷(平均血圧、全身血管抵抗)および心収縮力(1回拍出量、心拍出量)は年齢および性に対応した標準的範囲にあり、アンドロゲン剤あるいはプラセボーの4週間投与により変化しなかった。
    ・テストステロン群でのみ、左室収縮末期径および右室収縮末期範囲の増加、左室拡張期中隔速度の減少、左室充満圧の増加およびECGのPR間隔の短縮が、正常範囲内で軽度の変化として認められた。

    【結論】
    4週間のテストステロンあるいはナンドロロンの投与は若年男性の心機能に悪影響も好影響も与えなかった。

    【原著】
    Effects of testosterone and nandrolone on cardiac function: a randomized, placebo-controlled study.
    Chung T, Clin Endocrinol (Oxf). 2007 Feb;66(2):235-45. Links
    Department of Cardiology, Concord Hospital and ANZAC Research Institute, University of Sydney

     

    【弊社注釈】
    Tei index
    収縮能低下も拡張能低下も反映する総合的な心機能の指標である.
    Tei indexは, 僧帽弁流入血流の終了から再開始迄をa時間とし, 大動脈駆出血流持続時間をb時間とすると, (a−b)/bとして計算される.
    予後: 心不全例でTei indexが大きいと予後は悪い. 急性前壁中隔心筋梗塞例において合併症のある例はTei indexが増大している.

    【弊社コメント】
    心機能に対する影響を見るには、4週間は短すぎるように感じます。1年、あるいは半年、せめて3か月位かけなければ、と思います。
    テストステロン群で僅かな変化があり、これをとらえればテストステロンが直接ではなく代謝物の作用によると言えるのかもしれません。(野)

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    カテゴリマーク男性ホルモン
    (アンドロゲン・テストステロン)

    男性ホルモン(アンドロゲン・ テストステロン)

    テストステロン・ゲルの単回投与で女性の性活動を改善できる

    2007年02月03日


    【目的】
    これまでに、いくつかの研究が卵巣摘出あるいは閉経後の女性において、血中テストステロンの上昇が性機能および性欲を改善する事を示してきた。しかしながら、毎日のテストステロンの上昇による副作用が、この治療法の一般化に疑問を投げかけている。
    テストステロンの舌下投与は15分後にテストステロン濃度がピークに達し、90分以内に基の値に戻る。
    テストステロンのピーク到達3-4時間後に、性的感覚および性欲の上昇が報告されている。
    そこで、低活動性性欲異常症(HSDD)の女性において性交を行う4-8時間前にテストステロンの単回投与を行い、慢性投与で見られる副作用なしで性欲の上昇が得られるかを検討した。

    【方法】
    デザイン:無作為二重盲検クロスオーバー試験。
    対象:HSDDの閉経前の女性。
    投与方法:1カ月の間、週2回、性交前に供与されたテストステロンゲルまたは同様のプラセボーの投与を行った。次の月に実薬またはプラセボーを交換した。
    調査:患者が評価を行う”Arizona Sexual Experiences Scale”および医師が評価を行う”Sexual Function Questionnaire (SFQ-V1)”を用いた。

    【結果】
    ・10例の患者が試験を完了した。
    ・自己診断のアリゾナの5項目に関して、”How easily are you aroused?” がテストステロン・ゲルでプラセボーに比して有意に改善した( P = 0.03)。
    ・医師評価の SFQ-V1の “arousal-sensation” でも同様の傾向が認められた。

    【結論】
    性交前、必要に応じたテストステロン・ゲルの投与は性欲に関して効果が認められた。用量、投与のタイムスケジュールに関してさらに研究が必要である。

    【原著】
    J Sex Med. 2007 Jan;4(1):204-8.
    Transdermal Testosterone Gel prn Application for Hypoactive Sexual Desire Disorder in Premenopausal Women: A Controlled Pilot Study of the Effects on the Arizona Sexual Experiences Scale for Females and Sexual Function Questionnaire.
    Chudakov B, J Sex Med. 2007 Jan;4(1):204-8.
    Faculty of Health Sciences, Ben Gurion University of the Negev, Beer-Sheba, Israel.

     

    【弊社コメント】
    女性の性機能障害(性欲障害)に対するテストステロンの単回投与により、「テストステロンのピーク到達3~4時間後に、性的感覚および性欲の上昇が報告」とのことですが、女性の性機能障害に対して単回投与であれば連続使用にともなうリスクを最少化しながら望ましい効果が得られる事が期待されるため、弊社のテストステロン・クリーム「グローミン」でも同様の有用性が期待できると考えられます。
    グローミン塗布後の健常男性での血中プロファイルによれば、塗布後1~2時間でピークを迎えますので、女性も同様の動態であれば、塗布後4~6時間後に性的感覚および性欲の上昇が認められるのかも知れません。
    また、女性に対するテストステロンの連続的な投与については様々なリスクが指摘されており、全般的に消極的な雰囲気を感じておりますが、頓用の単回投与でも有効であるなら、積極的にご利用いただける事が期待されます。
    現状では「グローミン」をこのような目的でご使用いただく事をお勧めできませんが、今後の臨床研究を通じて根拠(エビデンス)を整備したいと考えています。

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  • エストロゲンの抗炎症作用は加齢によって低下する

    2007年02月03日


    【目的】
    若い成熟雌においては、エストロゲン療法は脳血管の炎症反応を抑制する。これは炎症遺伝子の調節因子であるNF-kappaBに媒介されるものである。脳血管の炎症に対するエストロゲンの作用が年齢によって異なるか雌ラットにおいて検討した。

    【方法】
    3および12カ月齢の雌ラットを用い、卵巣摘出(OVX)後に半数に4週間のエストロゲン投与を行った(OE)。また、4および13カ月齢のラットから脳血管を摘出した。
    炎症は lipopolysaccharide (LPS),により誘発し、in vivo では注射を行い、ex vivoで血管とインキュベートした。

    【結果】
    ・細胞質のNF-kappaB の基礎値は若いラットの脳血管において有意に高かったが、細胞質に対する核の比は中年のラットにおいて高かった。
    ・LPSは脳血管の核のNF-kappaB DNA 結合活性、iNOSおよびCOX-2の蛋白レベル、NOおよびPGE2の産生を高めた。
    ・LPSの全ての反応は老齢動物の血管において著明に大きかった。
    ・エストロゲンは両方の年齢のラットの脳血管のLPSによるNF-kappaB DNA 結合活性の上昇を阻害した。
    ・4カ月齢のラットにおいて、エストロゲンはLPSによるiNOSおよびCOX-2の蛋白の誘導を抑制し、NOおよびPGE2の産生も同様に抑制した。
    ・反対に、13カ月齢のラットにおいて、エストロゲンはLPSによる炎症反応の抑制効果を示さなかった。

    【結論】
    脳血管に対するエストロゲンの防禦的抗炎症作用は若い動物では認められるが、高齢動物では減弱されるであろう。

    【原著】
    Age alters cerebrovascular inflammation and effects of estrogen.
    Sunday LN, Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2007 Jan 5
    Department of Pharmacology, University of California, Irvine, Irvine, California, United States.

    【弊社コメント】
    WHIの結果の評価の中で対象の年齢が高すぎたことが結果の一つの原因として上げられ、エストロゲンの効果が加齢によって変わってくる事が検証されています。このデータはその基礎的部分をなすものと考えられます。(野)

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